「国会特別体験プログラムに関するシンポジウム」をオンライン開催

2020年10月29日

新型コロナウイルス流行により国際往来が困難な中、10月29日、オンラインで日越間を結び、「国会特別体験プログラム(「子ども国会」)に関するシンポジウム」を実施しました。

JICAは、2015年以降、国会事務局能力向上プロジェクトを通じて、「国民に開かれた国会」を目指すベトナム国会事務局情報局の取り組みを支援してきており、2017年からは、その一環としてベトナム国会の組織・活動に関する子どもたちの理解と知識向上を目的とする「国会特別体験プログラム(子ども国会)」の実施に協力しています。日本では参議院が子ども向けの特別体験プログラムを主催していることから、本プロジェクトでは、参議院事務局の協力を得て、ベトナムの関係者を日本に招き、日本の国会特別体験プログラムの視察を含む研修を行ってきました。
ベトナムの国会特別体験プログラムは主にハノイの中学生を対象に、国会参観ツアーと、模擬本会議場における模擬討論と投票の機会を提供しており、2017年以降、開催回数は40回以上、参加者数は3,600名以上に上ります。

今回のシンポジウムは、同プログラムの内容や実施方法の改善に向けて日越の関係者が意見交換することを目的に開催され、ファム・タット・タン国会文化・教育・青少年・児童委員会副委員長が司会を務め、日本からはオンラインで参議院事務局の萱森裕介 庶務部広報課課長補佐、奥村佳美 庶務部広報課係長に日本の取組をご説明いただきました。シンポジウムでの議論の概要は以下の通りです。

「国会特別体験プログラムの参加対象の拡大について」
教育の視点からも重要性が認識される。教育カリキュラムとの整合性に考慮しつつ、年齢グループに応じたコンテンツを作成し、現在中学3年生を中心としている対象を広げることを検討すべき。

「地方在住者及び社会的弱者のプログラム参加について」
短期間にプログラムを立ち上げ3,600名の参加が得られた実績を評価。他方、参加者がハノイ及びその周辺地域に偏っていること、少数民族など社会的弱者も含め広く国民が理解すべきコンテンツを提供していることから、人民評議会(地方議会)や学校教師との協力を通じて地方在住者や社会的弱者への機会提供を検討すべき。

シンポジウムにおける上記議論の結果を踏まえて、情報局からは、以下4点の提案が国会事務局指導部に対してなされました。

1.プログラムの参加対象を小学5年生(=ベトナムの小学校の最高学年)、中学生、高校生および大学生に拡大していく。
2.学校の教員と協力して、上記1の対象者の拡大に取り組むとともに、異なる対象グループに応じた適切なコンテンツ(模擬法案を含むシナリオ)を作成する。
3.地方・遠方の生徒のプログラム参加を容易にするため、各省・中央直轄市の人民評議会に本プログラムを紹介し、当該省・中央直轄市においてもプログラムを実施できるように検討、準備を促す。
4.国会会期の傍聴については、大学・学院(=大学レベル)の法律専攻の教員と学生が、関連する法案の審議が予定される本会議を傍聴することを検討する。

今回のシンポジウムの結果および情報局の提案を踏まえ、プロジェクトの残りの期間の中で、これまで達成してきた成果を維持・向上できるよう、今後、国会特別体験プログラムの一層の改善に向け着実に取り組んでいきたいと思います。

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ベトナムの会場風景

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オンラインによる日本との接続