プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ホーチミン市都市鉄道規制機関及び運営会社能力強化プロジェクト
(英)Project on Strengthening Management Ability of Operation and Maintenance Company for the opening of Urban Railway Line 1 in Ho Chi Minh City

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2017年7月27日

プロジェクトサイト

ホーチミン市

協力期間

2017年12月8日から2022年12月28日

相手国機関名

ホーチミン市都市鉄道管理局(MAUR)

背景

ホーチミン都市圏の人口は1995年の659万人から2015年には1,448万人に増加しており、これに伴ってバイク及び自動車の登録台数も大幅な増加が見られ、市内道路交通量の増加が著しい。この結果、交通渋滞の深刻化、交通事故の増大、大気汚染の悪化、都市サービスへのアクセス困難等の問題が生じており、効率的な経済社会活動を阻害する要因となっている。バス等の既存公共交通の輸送能力及び道路網の大幅な拡充が困難な状況から、ホーチミン市では都市鉄道を軸とした新たな都市交通システム整備が計画されている。
係る状況下、JICAはベンタインからスオイティエン間の都市鉄道を整備する円借款事業「ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))」(以下、1号線整備事業)を実施しており、2020年の開業を目指し、円借款を供与している。1号線整備事業の中では、都市鉄道整備のみならず、都市鉄道開業時に必要な運転士及び駅や指令所業務担当者の育成等を実施するが、ベトナムにおける都市鉄道事業は緒についたばかりであり、ホーチミン都市鉄道管理局は、都市鉄道運営会社設立や運営の経験を有していない。このため発注者は技術協力事業「ホーチミン市都市鉄道運営組織設立支援プロジェクト」(2011年3月~2013年3月)(以下、TC 1)を実施し、事業計画の策定を含めた、都市鉄道運営会社設立に必要な準備を支援した。TC 1終了後の2013年7月、TC 1で策定した都市鉄道運営会社の事業計画は承認されたものの、TC 1実施期間中に1号線の開業遅延が確定したため、運営会社の登記及び運営会社への人員配置は見送られた。
係る状況を受け、JICAは「ホーチミン市都市鉄道1号線建設事業に係る案件実施支援調査」(2014年8月~2016年4月)を実施し、都市鉄道運営会社の国営企業としての申請手続き、規制機関の設置及び監督範囲の設定等、都市鉄道運営会社の設立が滞っている要因や課題、ベトナム全体の政策・制度面の整備における課題等の分析を行った。しかしながら政治的意思決定の遅延等もあり、都市鉄道運営会社は未だ設立されておらず、2020年に1号線が開業し、その後も1号線を運営する人員を継続して確保するためには、都市鉄道運営会社設立に向けた早期の支援が不可欠であり、ベトナム政府より本協力の要請があった。

目標

上位目標

ホーチミン1号線が都市鉄道運営会社により安全と信頼の下運営される

プロジェクト目標

都市鉄道運営会社の運営維持管理能力が向上する

成果

成果1.都市鉄道規制機関の能力が強化される
成果2.都市鉄道運営・経営に必要なシステム・規則・計画が整備される
成果3.HURC1職員の運営維持管理能力が向上する
成果4.HURC1の企画・営業・広報活動が行われる
成果5.円借款本体契約(CP4)に含まれない経営管理に必要なソフトウェアが構築される
成果6.HURC1の経営管理に必要なインフラが整備される
成果7.ホーチミン市の他路線含むベトナム及び周辺国の都市鉄道運営に関する連携が図られる

活動

活動1

1-1.都市鉄道規制を作成するために、MAURと都市鉄道運営会社(以下、HURC1)の下にタスクチームをつくる
1-2.都市鉄道規制を作成し、ホーチミン人民委員会(HCMPC)に提出する

活動2

2-1.ベトナム鉄道法及び関連法令に基づく都市鉄道運転免許取得に必要となる教育・訓練に関するマニュアル及び教材を作成する
2-2.ベトナム運輸省鉄道局(VNRA)から承認を得るために、人材育成計画の作成及び提出においてGeneral Consultant(GC)と連携が図られる
2-3.「安全認証」を得るために必要な組織及び規程等が整備される
2-4.TC 1で策定されたHURC1の規程・規則の更新やレビューを行う(経営・安全・総務・人事・財務・調達・情報システム・営業等)
2-5.組織全般・管理部門・営業部門に関する内部規程・規則を策定する
2-6.安全認証と運転許可を得るために関連文書をVNRAに提出する
2-7.必要に応じて、1号線の開業前に準備すべき他の内部規程・規則及び計画を策定し、それを承認する
2-8.1号線の開業後に準備すべき内部規程・規則及び計画を策定し、それを承認する

活動3

3-1.安全に関する全社的な取り組みを継続する
3-2.人材採用計画を立案する
3-3.計画に基づき人材を採用し、教育・訓練する(GC及び請負業者による教育・訓練を除く)
3-4.開業後の業務改善に向けた検討・計画がなされる
3-5.開業後の継続的な採用・訓練が行われる

活動4

4-1.運賃以外のビジネスが検討・実施される
4-2.モビリティ・マネジメント(MM)活動を行い、都市鉄道利用を促進する
4-3.自動料金収受システム(AFC)・ICカードの利用に関する業務に習熟し、利用者に向けた広報活動が行われる

活動5

5-1.オフィスITシステムの設計について助言を行う
5-2.CP4に含まれていない本社におけるITシステムの作業マニュアルとフローを策定する
5-3.「ITシステム」機能についてHURC1からのCP4への要求と調整をサポートする
5-4.CP4に含まれていない工事完了後の関連設備の引き渡し及び引き継ぎのための要領を確認する
5-5.上記業務に関するシステム開発に係る計画・予算措置、開発・実装が行われる

活動6

6-1.軌道・土木に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-2.(建築)施設に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-3.電気・機械に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-4.信号・通信に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-5.車両に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-6.駅及び車両基地設備に関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)
6-7.本社オフィスITシステムに関する引き渡しを受けるために必要な確認事項についてGCによる確認をレビューする(GCや各施工業者の契約に含まれるものは除く)

活動7

7-1.HCMC(ホーチミン市)都市鉄道他路線のProject Management Unit(PMU)との連携が図られる
7-2.ハノイ都市鉄道の関係機関との連携が図られる
7-3.ベトナム国都市鉄道の関係機関との連携が図られる
7-4.日本を含む周辺国の都市鉄道運営会社との連携が図られる

投入

日本側投入

短期専門家:総括、副総括/都市鉄道規制、経営企画、人事・人材育成、会社経理、財務、総務、広報、鉄道技術・安全管理、都市鉄道運営、維持管理(土木1、車両1、電気1、AFC1)、関連事業1~2、ITシステム1~2、モビリティ・マネジメント1~2、事業手法・分析、プロジェクトコーディネーター/維持管理補助/モニタリング評価
本邦研修:全3回程度を予定

相手国側投入

カウンターパートの配置
プロジェクト事務所
プロジェクト運営費