罰則政令の施行

2019年12月1日

2019年12月1日、同年9月26日に公布された競争分野における行政違反処分に関して定める政令(No.75/2019/ND-CP)(以下「罰則政令」といいます。)が施行日を迎えました。
この政令は、2018年12月に改正された競争法(No.23/2018/QH14)に定められている罰則や制裁措置について、行為類型別にその具体的な内容を規定したものといえます。
例えば、競争制限協定(改正競争法第11条)については、当該事件審査終了後、国家競争委員会の委員から構成される競争制限事件処理評議会において審理され、同評議会が罰金や制裁を科すという流れとなります(改正競争法第110条第2項、第111条第1項及び第113条第3項)。
そこで、罰則政令は、罰金額の範囲について、水平的競争制限協定の場合は前年の関連市場における売上額の1%から10%の範囲(同政令第6条第1項)、垂直的競争制限協定の場合は1%から5%の範囲(同政令第7条第1項)、市場支配的又は独占的地位濫用の場合は1%から10%の範囲(同政令第8条第1項及び第9条第1項)とするなど、個々の行為類型に関する罰金額について具体的に定めています。
また、追加的な制裁として、例えば、水平的競争制限協定については、違法収益の没収(同政令第6条第2項)、違法な契約条項等の削除(同条第3項)が命じられる場合があることについても定めています。
なお、競争制限協定(改正競争法第11条において11種類の行為が規定されています。)のうち8の行為類型(新法第11条第1項から第8項の水平的競争制限協定(同条第5項及び第6項のみ垂直的競争制限協定を含む。))については、市場シェア、損害額又は違法収益の規模に関する一定の要件に合致する場合、刑事罰の対象となり得ます(2015年刑法(No.100/2015/QH13。2017年に改正(No.12/2017/QH14)。)第217条及び第222条を参照。)。
また、罰則政令は、上記の競争制限協定の違反行為者を処分するに当たって犯罪の兆候が発見された場合、国家競争委員会委員長は関係機関に関連資料を移管する責任を負う旨規定しています(罰則政令第6条第4項及び第7条第4項)。