経済集中案件に対する評価結果の公表

2020年10月2日

競争消費者庁は、2020年10月2日、1)KIDO Corporation(KIDO)によるKIDO Frozen Foods JSC(KDF)の株式取得、また、2)Vietnam Electrical Equipment Corporation(Gelex)によるViglacera Corporation(Viglacera)の株式取得に関し、それぞれ、当事会社に対し、競争法第30条が禁止する経済集中には該当しないとの通知を行った旨公表しました(当事会社に対する通知は、1)については9月28日に、また、2)については10月1日に行われたとされています。)。

(1)KIDOによるKDFの株式取得

本件では、KIDOがKDFに対して既に有している65%の株式保有割合を100%に引き上げることが経済集中に当たること、また、当事会社における売上額等の水準が細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)第13条第1項各号のいずれかに該当するとして、2020年9月7日に事前届出が提出されたものとみられます。

これについて、競争消費者庁は、予備評価(競争法第36条)の段階において、本件株式取得を細則政令第2条第1項第a号に該当する買収(競争法第29条第4項)に当たるものとして評価を行い、その結果、競争法第30条に違反する経済集中には該当しないとの判断を行ったものとみられます。

なお、日本における株式取得に関する届出制度においては、売上額に関する一定の基準に該当する場合であって、議決権保有割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合に事前届出を行う必要があるとされています。

2020年6月29日に公表されたMasan事例(本ホームページでも紹介しております。)からも同様のことがいえますが、ベトナムにおける子会社の再編に当たっては、ベトナム競争法に基づく届出の要否について留意する必要があるものと思われます。

(2)GelexによるViglaceraの株式取得

本公表文によると、本件では、GelexがViglaceraに対する株式所有比率を50%超に引き上げることについて2020年7月30日に事前届出が提出されています。

これに対し、競争消費者庁は、本件株式取得について、GelexがViglaceraを統制・支配することに該当(細則政令第2条第1項第a号)し、競争法第29条第4項の買収に該当する経済集中として評価を行い、その結果、競争法第30条に違反する経済集中には該当しないとの判断を行ったものとみられます。

本公表文は、本件当事会社の事業内容について、Gelexが電気設備の製造販売、また、Viglaceraが衛生設備及び事業用不動産の分野において事業を行っているとしており、これらの事業については補完関係にあるのではないかと思われます。

このことを前提とする場合、本件に関する予備評価(競争法第36条)においては、細則政令第14条第2項第d号の該当性について、それぞれの関連市場における市場占有率を基に評価が行われたものと思われます。

なお、本件のような案件では、いずれかの関連市場において市場占有率が20%以上と認められる場合、正式評価(競争法第37条)が行われることとなります。ただし、本公表文からは、本件について正式評価が行われたか否かは明らかではありません。