第8回内部研修セミナーの開催

2021年3月18日

2021年3月18日において、国際カルテルの審査実務をテーマとして、第8回内部研修セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、当方から、2014年3月に公正取引委員会が排除措置命令等を行った外航海運分野におけるカルテル事件の概要、競争当局間の国際的協力に関する取決めの内容、独占禁止法の適用除外制度等について説明を行いました。

また、ベトナム競争法におけるリニエンシー制度やその活用方法等について、簡単な仮想事例を題材に職員間で議論を行うなどし、リニエンシー制度の役割や重要性等について理解を深める取組を行いました。

ベトナム競争法におけるリニエンシー制度(競争法第112条)は、審査決定(競争法第80条)の発出前における最大3事業者からのリニエンシー申請について、競争法第112条第3項各号の要件(審査に対する十分な協力等)を満たす場合、国家競争委員会委員長が、1番目から3番目の申請者に対し、それぞれ、罰金額(競争法第111条第1項)の100%、60%、40%の減額を決定するという制度となっています。

ただ、現時点(2021年3月18日現在)において、競争法の執行機関である国家競争委員会の組織、権限、機能等を定める政令が制定されておらず、国家競争委員会が設置されていないため、上記リニエンシー制度の実際の運用は始まっていない状況にあります。

なお、例えば価格カルテル(競争法第11条第1項)については、合意参加者の関連市場における合計シェアが30%以上であって、かつ、当該事業者が5億ドン以上の不法利益を得ているなどの一定の場合には、ベトナム刑法(法律100/2015/QH13。法律12/2017/QH14により改正。)第217条第1項等の適用対象となり得ます。

一方で、罰金額の減免に関する決定は、あくまで競争法の範囲において国家競争委員会委員長により行われることとなります(競争法第112条第2項)。

このため、特定の競争制限協定について刑法の適用があり得る場合、リニエンシー申請にどのような影響があり得るのかという点が気になるところです。

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内部研修セミナーの様子