第9回ASEAN Competition Conferenceの開催(2021年12月9日公表)

2021年12月14日

競争消費者庁(VCCA)は、2021年12月9日、2021年12月1日、2日にオンライン会議形式で開催された第9回ASEAN Competition Conferenceの概要を公表しました。本会議は、VCCAがASEAN事務局等の関係者と協力して主催しました。主な内容は以下のとおりです。

本会議はASEAN競争法専門家会合(AEGC)の重要な年次イベントであり、ASEAN加盟国の競争当局の代表者、ASEAN以外の競争当局の代表者、経済界、研究者、国際機関等が域内の競争法上の問題等について議論する場である。今回は「競争の保護-ASEAN競争当局のCovid-19後の対応」(Safeguarding Competition - A Post-Pandemic Response of ASEAN Competition Authorities)をテーマに議論された。
ベトナム商工省のNguyen Sinh Nhat Tan副大臣は開会のスピーチでASEAN地域の問題に対処する上での加盟国間の協力の重要性を強調し、次のように述べた。ベトナムはASEAN加盟国として、加盟国間の協力の重要性を常に認識し、地域協力全般や競争分野に積極的に参加している。本会議を主催することは、ベトナムが競争分野における地域協力の強化に貢献する貴重な機会であるとともに、地域内外の競争当局との架け橋になる。競争法・政策の効果的な執行が、すべてのセクターの健全な競争環境の維持を確保するための基盤となり、経済・貿易の成長を促進し、ベトナム及びASEAN地域への投資を呼び込む上で重要な要素である。また、健全な競争環境は、良質で安価な商品を供給を実現することで消費者に利益をもたらすだけでなく、イノベーションと持続可能な成長を推進する鍵にもなる。
パネルディスカッション1ではVCCAのTrinh Anh Tuan副長官がモデレーターを務め、「Covid-19下における企業の競争法遵守の確保」(Maintaining Business Compliance)に関する議論が行われた。一部の国では、市場における必需品のサプライチェーンと流通を確保するために、競争当局は一時的に競争法の執行を緩和し、必要に応じて企業間の多くの協力行為を許可する場合があった。VCCA、英国の競争・市場庁及び日本の公正取引委員会のパネリストは、その一方で、競争当局が依然として市場を注意深く監視し、企業が危機に乗じて反競争的な行動を起こすことがあれば強い措置を採る準備があるとした。
パネルディスカッション2では、タイの取引競争委員会のSakon Varunyuwatana委員長がモデレーターを務め、「Covid-19後における中小零細企業(MSME)に対する競争政策の重要性の増大」(Increasing Importance of Competition Policy for MSMEs in the Post-Pandemic Era)に関する議論が行われた。MSMEはASEAN地域経済において大きな割合を占めており、ASEAN加盟国の成長と発展に大きく貢献していると言える。一般に、MSMEは大企業よりも競争上の不利益に直面することが多い。カンボジア競争当局のMeng Songkheang氏は、企業の公平な競争の場を維持する上で競争法・政策が重要な役割を果たし続けることを確実にするためにASEAN加盟国が協力する必要があり、特にCovid-19の困難な状況において、MSMEが市場に参加する際に彼らの利益を保護するための法的なツールを効果的に使用できるようにすべきである強調した。
パネルディスカッション3では、マレーシア競争委員会のIskandar Ismail CEOがモデレーターを務め、「デジタル経済への急速な移行と競争執行へのリスク」(The Rapid Shift Towards the Digital Economy and the Risk to Competition Enforcement)に関する議論が行われた。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)のRod Sims委員長は、競争当局は競争がどのように機能するかを鋭く認識し、デジタル市場が急速に発展する前に定期的に知識を更新して、競争法・政策を効果的に施行できるようにする必要があると述べた。また、現在ACCCは、反競争的慣行を迅速に防止するために法規制を見直したりデジタル市場の調査を実施していると述べた。
パネルディスカッション4では、ASEAN事務局のSarah Firdaus氏がモデレーターを務め、「将来の危機を見越した協力の強化」(Strengthening Cooperation in Anticipation of Future Crisis)に関する議論が行われた。この議題は重要な問題と見なされ本会議全体で取り上げられたところ、ASEAN加盟国は、地域協力の重要性を強調した。フィリピン競争委員会のArsenio M. Balisacan委員長は、異なる法域間の強力で開かれた協力がパンデミックに対する政策や制度的対応を考案するための鍵であり、今後もASEANの競争当局は、地域における競争法・政策を施行する過程で協力・共有を強化する必要があると述べた。
本会議は、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国、英国、国際機関、大学、経済界等から約1000名の参加を得て成功裏に終了した。
本会議の模様は下記リンクから視聴できる。