プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)工業所有権の審査能力強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening capacity in industrial property examination in IP Viet Nam

対象国名

ベトナム社会主義共和国

署名日(実施合意)

2020年11月24日

プロジェクトサイト

ハノイ

協力期間

2021年3月31日から2023年3月30日

相手国機関名

(和)ベトナム国家知的財産庁
(英)IP Viet Nam

日本側協力機関名

特許庁

背景

ベトナムにおいては、自国の産業の進展に伴い、知的財産権の保護の必要性が増大すると共に、2005年11月に知的財産権法が制定されたことによって模倣品対策等を行ううえで必要な制度は整備されつつある。加えて、2007年1月にベトナムがWTOに加盟したことにより今後の通商と産業の発展が期待されていること、日越共同イニシアチブや日越EPAにおいても知的財産権保護は重点項目として挙げられていることから、引き続きさらなる知的財産権の保護が求められると考えられる。
ベトナムへの企業進出を考える企業にとっては商品の製造過程、市場流通過程のいずれにおいても侵害品対策のリスクと負担が常に伴い円滑にビジネスを行うことは困難であり、外国企業はそのような国で事業を行うことについて消極的にならざるを得ず、また、例えば知的財産権の権利化までの期間が長期に渡る場合、ビジネス戦略を立てづらい状況である。本事業は、これらの課題に対応するため、ベトナムの知的財産法に沿ったIP Vietnamによる工業所有権の審査能力を強化することを目的とし、日越EPAにて重点項目として挙げられている知的財産権保護に資する案件と位置付けられる。
今後はベトナム発の特許出願の増加も見込まれる中、これらの発明の権利を適切に守るためにも、特許権成立までの期間短縮に加えて、審査実務の能力向上及びユーザーフレンドリーな施策の実現が望まれる。
具体的には、特許審査基準の改訂や特許審査官同士での知見を共有することで審査の質のバラつきを抑制するほか、特許審査基準の英語版の策定・公表を通じて海外のユーザーにとっての利便性を高めることで、国内外からの特許出願数の更なる増加やベトナムへの投資拡大が期待される。

目標

上位目標

安定的かつ信頼できる特許審査の運用を確立する。

プロジェクト目標

IP Viet Namによる特許審査の実施及び運用について、透明性、予見性、一貫性、正確性が向上する。

成果

1.特許審査基準が改訂される。
2.特許審査の品質管理に係る文書(例えば、チェックフローやチェックポイント、よくある間違い事例集に係るもの)が作成される。
3.特許審査官のスキルと能力が向上する。

活動

1-1.ベトナムの既存の法律と運用に準拠するように改訂された特許審査基準を起草し、審査基準に最新技術に関する記載を含める。
1-2.改訂された特許審査基準に関して、内部向け及び外部向けに、2,3日のセミナーを実施する。
1-3.改訂された特許審査ガイドラインを翻訳・公開する。

2-1.特許審査の品質管理に関する現状調査を行う。
2-2.特許審査の品質管理に関する文書を作成する。
2-3.特許審査の品質管理に関する文書に則した複数のパイロット活動を実施する。

3-1.IP Viet Namの審査官の特許審査スキルを向上させるためのセミナー/ワークショップを開催する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣(合計約24M/M):(特許審査業務)
2.研修員受け入れ:なし
3.機材供与:なし

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供
・プロジェクトオフィス
・プロジェクトに関連するデータおよび情報
・現地費用
3.カウンターパートの報酬、残業代(もしあれば)およびその他の費用、特にベトナムでの交通費および関連する旅費
4.特許審査ガイドラインのウェブ公開にかかる費用
5.その他の経常支出