GHG排出量算定・削減計画策定に向けたセクター別民間企業技術研修の開催（食品飲料セクター）

SPI-NDCプロジェクトでは2022年12月にセメントセクター対象に実施した民間企業研修につづき、第2弾の研修として、2023年3月15日ホーチミン市において食品飲料セクターを対象とした研修を実施しました。

この研修は、2021年に施行された改正環境保護法の下に公布された「GHG排出量軽減とオゾン保護に関する政令（06/2022/NĐ-CP）」（以下、政令6号）において、一定のGHG排出量を超える民間事業所に対して、GHG排出量算定報告が義務付けられることに対応し、具体的にどのようにGHG排出量を計算するのかという演習なども実施しました。

本研修は、企業のGHG算定報告・緩和計画要件への対応が法的に求められる中、「では実際にどうやってやるのか＝HOW TO」の実務ニーズに応えるものとして、演習主体型の実利研修として設計され、対面・オンライン参加の双方を取り入れたハイブリッドで民間企業関係者など200名を超える参加（対面58名、オンライン168名）を見ました。MONRE/DCC Quang局次長とSPI-NDCプロジェクト福田専門家による開会の挨拶後、4つのセッションが行われました。各セッションの発表内容及び登壇者は以下のとおりです。

セッション1：気候変動に関する法律

・気候変動国内法制度と事業所のGHG算定報告要件と最新のNDC措置による気候変動に対するベトナムの法律と行動
Luong Quang Huy課長、天然資源環境省気候変動局（MONRE DCC）GHG排出削減・オゾン層保護課（オンライン）

セッション2：GHG排出量計算演習

・食品飲料セクターの背景と概要
SPI-NDC　石井晶子専門家
・ベトナムにおける飲料・食品会社の優良事例
-ハイネケンベトナム、サステナビリティ責任者　Le Thi Ngoc My 氏
-GREENFEED ベトナム、サステナビリティ　ディレクター、Pham Tuan Anh氏
・GHGの算定方法、報告フォーマットの導入
ナショナルエキスパート　Nguyen Tien Hai氏
・オンラインGHG報告システムの導入
ナショナルエキスパート　Vu Xuan Hoach氏（オンライン）
・ケーススタディと演習－モデル施設のGHG排出量の計算

セッション3：GHG排出削減行動の計画

・GHG緩和策の実施によるGHG排出削減量の試算
ナショナルエキスパートNguyen Tien Hai氏
・ケーススタディと演習－モデル施設のGHG排出削減量の計算

セッション4：循環型経済と気候変動

・ベトナムにおける飲料／食品会社の優良事例
コカ・コーラ・ベトナム社　Nguyen Minh Tam氏（オンライン）
・サーキュラーエコノミーの概念
ナショナルエキスパートTrang Hong Loan氏
・飲食分野におけるサーキュラーエコノミーの具体的施策・技術の紹介
ナショナルエキスパートTran Dac Chi氏

本研修では、演習で全員参加型のグループディスカッション形式が採用され、積極的な議論の結果、参加者の研修内容に対する理解が促進されました。また、質疑応答では数多くの質問がなされ、政府と民間企業との活発なディスカッションの場となりました。今後も同様の研修を継続してほしいとの要望も多く寄せられ、福田総括は閉会の挨拶にて、企業の関心の高さと意欲に関心するとともに、参加者からの意見を参考に、今後の研修計画も検討していきたい旨伝えました。今後、食品飲料セクターの気候変動への取組が促進されることが期待されます。