プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)パリ協定に係る「自国が決定する貢献(NDC)」実施支援プロジェクト
(英)Support for planning and implementation of the Nationally Determined Contributions in Vietnam(SPI-NDC)

対象国名

ベトナム社会主義共和国

署名日(実施合意)

2021年3月31日

協力期間

2021年6月9日から2024年6月8日(計36カ月)

相手国機関名

(和)天然資源環境省(MONRE)/気候変動局
(英)Ministry of Narural Resource and Environment(MONDE)/Department of Climate Change(DCC)

背景

2015年12月に気候変動対策に関する新たな国際枠組となるパリ協定が採択されたことを受け、ベトナム政府は、天然資源環境省(Ministry of Natural Resources and Environment:MONRE)を中心に、ベトナムの国としての約束草案(Nationally Determined Contribution:NDC)を含むパリ協定の要請の着実な実施を担保することを念頭に、パリ協定実施計画(Decision 2053/QD-TTg, 2016年)の承認等、国内での法的枠組みの整備を進めている。その後、2018年12月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP24)でパリ協定実施指針(Paris Agreement Rule-book)が採択されたことを踏まえ、今後は、本指針を踏まえた気候変動対策を実施していく必要がある。具体的には、2020年以降、すべての国が定期的に温室効果ガス排出量目標を設定し、その達成に向けて対策を講じていくことが決まり、パリ協定第4条の緩和(排出量目標の設定や報告などの方法等)、13条の透明性枠組み(隔年で提出が求められている報告書の様式や提出期限等)、14条のグローバルストックテイク(パリ協定の目的および長期目標に向けた世界全体の進捗状況を定期的に確認し、取り組みを強化していく仕組み等)等の着実な履行が求められている。
これまでベトナム政府は、技術協力プロジェクト「国としての適切な緩和行動(NAMA)」策定及び実施支援プロジェクト」(2015年~2020年)での協力も踏まえつつ、本指針を踏まえた気候変動対策のロードマップ政令案の策定を進め、同政令案の内容を含めた改正環境保護法が、2020年の国会で承認されている。また、5年に1回国連に提出を行うNDCを2020年7月に提出済みである。改正環境保護法に基づき、各省庁は、MONREの調整の下、セクターレベルでのGHG排出削減計画の策定・実施、通達やガイドライン等の策定、国際社会への温室効果ガスの測定・報告・検証(MRV:Measurement Reporting Verification)等を進めていく必要が有る。更に、各省による取り組みに加え、GHGを排出する施設レベルのMRVも必要となり、施設を保有する民間企業は、GHG排出削減計画を提出し、その進捗を定期的に報告することが求められる。ベトナム政府及び民間セクターは、上記活動の実施に必要な知見を十分に有しておらず、ベトナム側独自でこれらの取組みを進めていくことは容易ではない。
上述の状況を踏まえ、本事業において、NDC実施に向けた民間セクター参画促進にかかる政策を策定し、MONRE・関係省庁によるGHG削減の計画・実施能力向上を図り、もって、ベトナム政府のNDC計画・実施能力向上に寄与することを目指す。

目標

上位目標

ベトナム政府のNDC計画・実施の能力が向上する。

プロジェクト目標

NDC実施に向けた民間セクター参画促進にかかる政策策定がなされ、MONRE・関係省庁によるGHG削減の計画・実施能力が向上する。

成果

1.NDC実施に関連するMONREの能力が強化される。
2.各省及び民間セクターのGHG排出削減目標達成に向けた計画・実施・モニタリングにかかる能力が強化される。

活動

本事業では以下の活動を予定しています。

1-1.NDCにおける緩和施策毎の年間進捗にかかるパイロットモニタリングツールの検討・提案を行う。
1-2.NDCの進捗管理にかかる調整プラットフォームの検討・提案を行う。
1-3.国家GHGインベントリーのレビュー・評価を行い、改善策を提案する。
1-4.上述の活動で得られた経験・知識を共有するための会議を実施する。

2-1.環境配慮型の公共交通システムに関する調査を行う。
2-2.モーダルシフトに係るMRV方法論の運用可能性を検証し、コベネフィットを算定する。
2-3.VCCIとの協働により、民間企業の気候リスク対応計画及び事業所レベルのGHG排出算定に係る研修を実施する。
2-4.特定企業を対象とした気候リスク対応計画の策定及び事業所レベルGHG排出算定を実施する。
2-5.気候変動対策に資する国内資金オプション及び民間企業による緩和行動促進にかかるインセンティブ施策を検討する。
2-6.各省及び民間セクターの参画促進にかかるワークショップ等を実施する。

投入

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供