TOF研修を開始しました

2023年3月13日

2023年1月~3月

プロジェクトの対象省において農業普及員を中心にTOF研修(Training of Farmers)を実施しています。昨年実施した、TOT(Training of Trainers)研修に参加したPPMU(Provincial Project Management Unit)のメンバーは、農業普及活動計画に基づき対象農協・農家へのマーケティング研修と生産・GAP研修をそれぞれ行っています。

バクニン省では、農協メンバーの農家約30名、バイヤー2名(集荷業者、安全野菜販売店)がマーケティング研修に参加し、マーケティング概念、共同出荷、市場情報についての講義と招待されたバイヤーとの意見交換を行いました。参加者からは、「市場需要を見て、出荷時期を調整することは容易ではない。農作物は気候に変動されやすいので収穫の時期の調整は難しい。」、「(農協を通さずに)個々人の農家が直接販売する方法が強く残っている。共同出荷に向いていない。」といった率直な意見が出た一方で、バイヤーとの直接の意見交換の場では、生産条件に関する要望や市場の要求事項が伝えられ、積極的に意見が交わされました。別の日には、対象2農協はDAVACO(スーパーマーケット)と安全野菜ショップを訪問し、市場調査を実施しました。今回市場調査を行った農家生産者の中には、これまでそのような売り場を訪問したことがない生産者もおり、市場需要に応えられるより良い農産物の栽培に意欲を出していました。
生産・GAP研修では、50名以上の農家が参加し、安全作物の生産管理、共同出荷体制の構築、農協マネジメントについての講義を興味深く聴講しました。

ハナム省では、経験豊富なトレーナーによる参加型形式で「売るために作る」というプロジェクトのコンセプトや、市場調査の方法を参加者の声を聴きながら、丁寧に教える姿が印象的でした。ライチを栽培している農家には、仲買人が収穫作業を請け負い、収穫物をすべて買い占めている場合もあり、このような生産者は市場調査にあまり積極的ではありませんでしたが、自ら栽培し販売している農家は熱心にバイヤーに質問していました。今後は、やる気のある農家を選んで活動に巻き込んでいくことが重要です。

ナムディン省では、組合長が研修の主旨を理解し、中核農家を参加させていました。「いくら安全な野菜を作っても、仲買人に買いたたかれ、農家の収入は増えない。共同販売の仕組みを作り、正当な価格で売れるようにしたい」と組合長が意気込みを語ってくれました。参加した農家も、「これまで誰からもきちんと指導をしてもらったことがない。組合の仲間と一緒に活動できることがうれしい」と生き生きと研修に参加していました。

プロジェクトでは、対象農協の安全作物生産及び経営能力向上を目指し、引き続き対象省のTOF研修の実施支援、モニタリングを行います。

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招待されたバイヤーとの意見交換(バクニン省)

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市場調査によるヒアリング(バクニン省)

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講師と参加者のやりとり(ハナム省)

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調査結果を発表する参加者(ハナム省)

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記入した質問票を見せる参加者(ナムディン省)

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バイヤー(正面を向いている女性)を質問攻めにする参加者(ナムディン省)