保健医療サービスにかかる単位費用(unit cost)調査

2018年4月18日

2018年2月

プロジェクトが実施した保健医療サービスの単位費用に関する調査が終了。調査結果を保健省医療経済専門家会議(Health Finance Technical Working Group)で発表しました。

全ての人が、経済的な苦しみを伴わずに必要とする保健医療サービスを受けられる状態、いわゆるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成に向けてプロジェクトは様々な角度から支援しています。UHCの達成には、サービスを提供する医療施設の整備、保健人材の育成、医薬品の供給などの保健システムの強化、そして保健医療サービスを必要とする人が経済的困難に陥らないための公的保険や無料診療などの施策・制度の整備も必要になります。

ザンビアでは公的医療施設が提供すべき保健医療サービスが規定されており、地域の診療所など一次レベルの医療施設で受けられる基礎的保健サービスは原則無料になっています。

当然ながら限られた国家予算で質の高いサービスを無料で提供するには限界があります。

いかに効率的に保健医療サービスを提供するか、無料診療の範囲や公的健康保険の導入など、ザンビアの保健医療政策を根本的に検討する議論がプロジェクト開始時から行われていました。ところがザンビアではこれら議論を具体化させていくための費用に関する情報がほとんどありませんでした。そこでプロジェクトは保健医療が提供するサービスの単位費用(外来診療、一日の入院治療、各種検査費用などの費用)を試算するための調査を行い、その結果を保健省と共有することにしました。

調査は想定以上に時間を要しました。特にデータ収集に関しては、医療施設での記録の紛失・欠落、情報の整合性が欠如しているなど様々な課題に直面し、全体的な工程の見直しも迫られました。けれども、まさに健康保険制度に関する法案が国会を通過し、実施に向けた議論が開始され始めたこの時期に、単位費用の試算査果を保健省の政策立案者含め関係者に共有できたことは大変意義があったと思います。

今回の会議ではプロジェクトの調査結果を活用し更なる調査に発展させていくための議論も行われました。プロジェクトでは、今回の単位費用の結果をもとに特定の保健医療サービス、特に高血圧と糖尿病治療、産科の搬送にかかる費用と効果について分析を行い、その結果を医療経済専門家会議で共有していく予定です。

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医療経済専門の東秀樹専門家による調査結果発表