ジェンダー・多様性からの災害リスク削減

課題別研修「ジェンダーと多様性からの災害リスク削減」研修員と語る公開イベント「復興の中で、地域活性化するためのジェンダーの取り組み」を行いました(2016年12月15日)。

「ジェンダーと災害・復興」に関する公開イベント開催

2016年12月15日(木)、課題別研修「ジェンダーと多様性からの災害リスク削減」研修員と語る公開イベントをJICAプラザ東北で開催しました。
テーマは「復興の中で、地域活性化するためのジェンダーの取り組み」です。

日本と途上国、お互いの取り組みを知りあう場づくり

本イベントは、開発途上国からの研修員に日本の被災地の取り組みを知ってもらうことと同時に、東北の被災地でジェンダーに関する課題に取り組んでいる参加者に、開発途上国での取り組みを知ってもらい、日本と途上国、お互いのフィールドでの活動の参考としてもらいながら交流を図る事を目的として行いました。また、本課題別研修のまとめとして公開イベントを開催することで、2015年の第3回防災世界会議において採択された「仙台防災枠組」を積極的に発信している仙台市と仙台市民、そして宮城県民の方々に対し、本研修の意義を知ってもらうことをもう一つの目的としました。

知り合うことから学び合うこと

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神谷未生さんからの話題提供

話題提供では最初に、チリやネパール、ブータンなどの研修員からそれぞれ自国で実施しているジェンダーに関する取り組みが報告されました。国によっては、女性議員の任命について一定割合数以上を義務付けている政策も展開しているなど、女性の地位向上に積極的に取り組んでいる事例も話されました。次に、日本の被災地の取り組みとして、東日本大震災で被害を受けた岩手県大槌町においてで活動を続けている、一般社団法人おらが大槌夢広場の事務局長を務める神谷未生さんが、復興過程の中で生きる女性の姿について触れながら話題を提供してくださいました。

ますます重要になる災害復興の中での多様性と仙台防災枠組

その後、研修員と東日本の被災地で活動している参加者とのグループディスカッションを行いました。ディスカッションの中では、途上国はまだ男性中心である背景を課題として挙げながら、「女性の地位向上には国から変えていく必要がある」という意見や、「平等と公平の使い分けに注意しながら、ゴールをどこに設定するのか決める必要がある」という意見も出ました。また、特に子育てをしている母親については、健康的にも精神的にもストレスがかかる時期であるため、より一層のケアが必要であることも述べられ、改めて子育て世代の母親への気配りが世界共通の課題であることも実感しました。

世界銀行からもゲストが参加

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グループディスカッションの様子

最後に、世界銀行東京防災ハブから観覧者として参加くださっていたJames Newman氏から、「災害時には女性のパワーが発揮される時であり、災害時にこそ必要な力であると述べるとともに、国に変革をもたらすために女性に事業を起こさせることも重要である。」という意見も出され、今後も女性が意見を述べる、声を上げることの重要性が参加者と共有されました。

日本と途上国、相互復興に向けて

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非常に活発な意見交換が行われました

終了後は、同会場にて交流会が開催され、笑顔と共にイベントの幕が閉じました。本イベントでは、途上国からの研修員が一方的に学ぶのではなく、日本側も大きな学びを得ました。また、相互交流・相互復興の機会ともなりました。

(報告者:地域復興推進員 齊藤)