【青森県】開発教育セミナーin青森を実施しました。

2020年3月9日

【画像】2019年12月21日(土)に開発教育セミナーin青森を実施し、青森県内の教員、会社員など16名に参加していただきました。
本研修の目的は、開発教育/国際理解教育・SDGsに関する理解を深め、学校での実践につなげることです。

実践授業報告・開発教育・SDGsに関する講話

【画像】2人一組になって「共通点」を3つ見つけるアイスブレーキングを行なった後、中居俊輝先生(2019年度教師海外研修(タンザニア)参加者)と福井綾先生(2016年度教師海外研修(パラグアイ)参加者)の実践授業発表を行ないました。
中居先生の発表では、実際の授業を体験しました。フォトランゲージという手法を使って、先生方は生徒になりきって、タンザニアがどんな国かを出し合っていました。
福井先生の発表では、派遣から3年経ったことで、学校内で他の先生と協力することや、授業のカリキュラムを生かしながら、「無理なく継続する」方法が話されました。

次に、石森広美先生(宮城県仙台二華高校教諭、国際理解教育学会理事)より、長年の国際理解教育に関する研究や授業経験に裏打ちされた、「どのように学校現場で国際理解教育を実践するか」というお話がありました。

開発教育に取り組む

学校で開発教育を実践するために、まずどんな生徒を育てたいのか、現状や想いを把握することが大切です。そのため、次の時間は、「こんな生徒を育てたい」を個人でたくさん書き出し、テーマごとにまとめてディスカッションを行いました。以下、それぞれのグループから出た意見の抜粋です

・視野の広い人
・自分を大切にできる人
・健康な人
・公正公平な子
・社会貢献できる
・感性がある
・考える人
・信念を持つ子
・愛がある
・探究心がある
・ユーモアがある
・行動力がある
・他者とつながることが出来る
・身の回りをきちんとできる
・自分の弱さを認められる
・創造力、想像力
・発信力がある

次に、「こんな生徒に育てたい」で出たテーマから一つを選択し、それを目標にして上に書き、下には「現状」と書きます。そして、そんな生徒を育てるために、「妨げる力(向かい風)」となっているもの、「推進する力(追い風)」となっているものを書き込んでいきました。それぞれのグループで選んだ、「育てたい生徒像」と、向かい風は以下のとおりです。

◇愛情あふれる人
・愛情不足、虐待
・少子化と核家族化
・体験不足
・トラウマを持っている
・人間関係が希薄(メディアやゲームばかり)
・自己肯定感が低い

◇違いを尊重できる人
・偏見
・他人の評価
・面倒がられる
・効率性重視
・失敗を許さない風潮
・和を重んじる教育や社会

◇他者とつながることのできる生徒
・面倒がられる
・無関心
・ないない尽くし(チャンス、金、交通手段、情報)
・失敗が怖い
・人目が気になる

全体発表

全体発表後に、この活動で気づいたことを聞いたところ、「育てたい生徒像が違っても、妨げる力は同じようなものが出たように思う」「妨げる力はたくさん出たけれど、それだけ自分ができるアクションも多いように感じた」「育てたい生徒像、たくさん出たけれど、みなさん同じ意見を持っていることに気づいた」という感想が出ました。

セミナーの最後は、「月曜からできること」を考え一人ずつ発表しました。大きな変化を起こすにも、まずは小さな一歩から、という「スモールステップ」の力を感じていただくことができたようです。先生方の教室での開発教育実践を、JICAも出前講座や、開発教育指導者研修、各県でのセミナーで応援しています。国際協力で何か聞きたいことがあれば、各県デスクまでぜひお問い合わせください。

<それぞれの先生の、月曜からできること>
・出会った人に積極的に笑顔で話しかけてコミュニケーションを取ります!
・生徒とお喋りします
・たくさん生徒をほめます
・すぐに否定しないようにします
・図書館で座談会を開く許可を校長先生にもらう
・社内への発信、声がけ、コミュニケーションを密にする
・へぇーそうなんだぁを見つける
・思い込みを排除するために、対話を大切にする
・失敗を許す
・子どもをぐるぐる回します
・石森先生の本を紹介する

セミナー全体に対する感想

・校種の異なる先生方のお話は、大変に刺激になった。
・一人だけ民間企業からの参加でしたが、違和感なく楽しく学ぶことができた。
・民間企業の方も一緒だったのがよかったです。視野を広げるチャンスとなった。
・目的の、「つながりを作る」と「事例を学ぶ」が達成できた。
・自分の意識改革と多くの気づきや情報が得られ、国際理解教育への意識も変えられた。
・理論と実践の両方をバランス良く学べた。
・「どんな生徒を育てたいか」という話し合いで、周りの大人の責任や影響って、ものすごく大きいんだなと感じた。
・グローバル教育やSDGsに関する学習活動をどのように進めればよいのかヒントを得ることができた。
・開発教育については全く知りませんでしたが、内容と現状を詳しく知ることができた。

<よかったプログラム>
◇授業実践報告
・生徒に興味を持たせるための仕掛けや生徒の変容について知ることができた。
・体験談により具体的に開発教育について理解できた。
・学校として、どう取り組むかを考えなければならないと感じた。
・身近なところから始められるアドバイスがあり、取り組む入口が見えた。
・まず自分が何をしたいのか、よく考えて自分から発信していきたい。
◇開発教育概論
・SDGsを通じて様々な実践をされ、かつ成果を挙げられており、目指すべき目標になった。
◇開発教育に取り組む
・他の方の考えや悩みを伺って、共感できたり、ヒントを互いに与え合ったりできた

<当セミナーでどのような学びを得たか>
・生徒の進路や将来のために大切なことを再認識できた。
・生徒同士の対話を通して学び合う、気付きを得るという視点が重要。
・自分自身でも教材を掘り下げて研究することで、生徒の気づきを促せるのだと感じた。
・自分の考えや行動が間違っていないという自信になった一方、偏った見方をしている部分に気づいた。
・どのように学び(気づき)を広げ、深めていけば良いのか、一人では気づかぬことも他人と協働すると拡がりがあるんだと改めて思った。
・自分の問題に落とし込むことの大切さ
・生徒が行動に移すまでに「知る」⇒「考える」⇒「共有する」⇒「行動する」の過程があり、自分の身近なものに捉える必要があること、心を揺さぶるような授業が大事。
・JICAスタッフの語りを聞いていてすごく感動した。

(報告:JICA東北 清水)