2019年5月22日
ブータン中西部地域における園芸農業振興を目指す本プロジェクトは、園芸作物品種の導入や栽培技術の開発、地域農家を対象とする普及プログラムの整備等幅広い活動に取り組んでいます。その活動の拠点となるのが、JICA専門家が派遣されているバジョ農業研究開発センター(以下バジョ・センター)です。農業研究開発センターはブータン全土に5か所設置されていて、各地の特色に応じた農業技術の研究開発及び普及拠点としての役割を担っています。
「園芸作物生産振興のための体制整備」という目標がプロジェクトの基本計画に明記されていますが、バジョ・センターが担う役割の大きさに照らすと、その機能強化こそが、プロジェクト目標の核心を成す部分と言えるでしょう。そのため、プロジェクトの開始以降、ハードとソフトの両面で、バジョ・センターの機能強化につながる様々な努力を続けてきました。ハード面では灌漑施設、作業道、グリーンハウス、ワークショップ、研修施設等の整備や、各種の土木機械、農業機械の導入、さらには圃場の区画整備、土壌改良等を段階的に行ってきました。ソフト面では、日本人専門家による日々の地道な指導を積み重ねる中で、カウンターパートたるバジョ・センター職員の能力開発に取り組んできました。その結果、プロジェクト4年目を迎えた今、バジョ・センターはハード、ソフトとも見違えるほどの進歩を遂げたと胸を張ることができます。
その進歩を裏付ける一つの事象として、農家や技術者による見学が増えたことが挙げられます。施設の整ったバジョ・センターの圃場では、常に幅広い種類の野菜や果樹が栽培され、季節に応じて様々な作業が行われていることから、農業従事者にとっては活きた教材の宝庫です。最近では、単なる視察にとどまらず、特定の作物に関する特定の栽培技術を学ぼうとする農家からの指導の依頼を受けることもあります。そして、見学者の増加という変化そのものに加え、プロジェクトとしての成果をより実感させてくれるのが、見学者を案内・指導するカウンターパートが見せる確かな成長のしるしです。大勢の訪問者に対する堂々とした姿からは、プロジェクトで培った自らの仕事に対する自信が溢れています。人づくりこそが技術協力プロジェクトの本分とするならば、時に進展が感じられない遅々とした歩みも、目的地へ到達するために踏むべきプロセスであったと確信することができるのです。
植栽された果樹の成長に伴い、バジョ・センターの圃場は緑が濃くなってきました。
ダガナ県から見学にやってきた農家グループを案内するカウンターパート
ガサ県から見学にやってきた農家グループを案内するカウンターパート
キウィ栽培に取り組む農家が剪定技術を学びにやって来ました。
地元学生の社会見学も受け入れます。
評判を聞いたワンディ県の新副知事も視察(試食?)にやって来ました。