2020年12月10日
これまでにご紹介したバルパック・スリコット村(注1)、チョータラ市(注2)に続いて、プロジェクトの活動地域のひとつ、シンドパルチョーク郡ヘランブ村をご紹介します。
シンドパルチョーク郡位置図。出展:JICA ODA見える化サイト(注3)
首都カトマンズから北東約80キロメートルに位置するヘランブ村は、シヴァプリ国立公園、ランタン国立公園のトレッキングの玄関口にあり、手つかずの自然が多く残されている高原の村です。農業が主流な産業でリンゴなど果樹の栽培が盛んですが、8000メートル級の高山から流れてくる雪解け水が近隣の川まで流れてきており、近年では清流を活用したニジマスの養殖も行われています。また、チベット仏教の開祖、パドマサンバヴァがこの地で修行を行ったとも伝えられていることから、現在も多くの仏塔や仏像が残されており、ネパール人も巡礼に訪れます。
ネパールは人口の約8割がヒンドゥー教徒で、仏教徒は1割程度ですが、ヘランブ村ではなんと人口の約7割が仏教徒です。これは、ヘランブの北側がチベット国境と接しており、タマン、ヒョルモ、シェルパといったチベット系少数民族が人口の大半を占めるためです。ヘランブ村を訪れると、すれ違う多くの住民は日本人とよく似た顔の特徴をしていますし、あちらこちらに仏塔やチベット仏教の旗があって、他の地域とはまた違ったネパールの風景が望めます。ネパールは100を超える多様な民族が存在する世界でも稀に見る多民族・多言語国家と言われていますが、首都カトマンズからヘランブ村に行くと、こうしたネパールの多様性を肌で感じることができます。
高台からの景色。チベット仏教の5色の旗が翻っている。
チベット仏教の開祖であるパドマサンバヴァの像。この地で修業を行ったと伝えられている。
ヒマラヤ山脈の中でも有名なランタン山にも近く、仏教の聖地も多いことから、ヘランブ村の村長は、「復興の牽引役として観光の振興に力を入れていきたい。」と、いつも力強く話して下さいます。今後、ヘランブ村での活動の様子などもお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。
日本人の主食と言えば白米と味噌汁ですが、ネパールでそれにあたるのがダル・バート。ネパール全土で見られる典型的な家庭料理で、ダル(豆スープ)、バート(ご飯)、タルカリ(野菜のおかず)が基本のセットです。しかもお代わり自由、庶民の味方です。
通常ちょっと贅沢版はこれにチキンやマトン(羊肉)のカレーが付きますが(注:お肉はお代わり自由ではありません)、ここヘランブ村に来る楽しみの1つは、肉ではなくニジマスの唐揚げ付きのダル・バートが食べられること!川沿いの養殖場に小さなリゾートが併設されており、ワークショップ会場として使うことも多いからです。一仕事終えた後に、カラッと揚げたての魚と一緒に食べるダル・バートは本当に美味しくて、日本人としては、おそらくネパールで食べるダル・バートの中でも最高級かもしれません(笑)。ニジマス自体の写真がお見せできないのが残念ですが、それはまた次の機会に。
一番上:豆スープ、左のボウル:魚カレー、左下:野菜のカレー炒め、右下:青菜炒めと辛いピクルス。パパッドと呼ばれる揚げ煎餅も付いてきます。