ネパール連邦民主主義共和国(以下、ネパール)では、農業は全人口の約3分の2が従事し、国内総生産(GDP)の約3割を占める基幹産業である。その中で、ネパール南部の平地を東西に広がるタライ平野は全耕作面積の53%、全灌漑面積の81%を占めている。同平野は肥沃な土壌と水資源に恵まれており、全国の生産量に占める割合は、米は70%、小麦は58%、野菜では59%といずれも高い。従って、同平野の農業・農村開発や生産性向上は国内の経済開発や貧困削減、国内格差是正、食料安全保障に果たす役割は大きい。しかし、1)政府機関や水利組合による基幹施設や末端施設の運営・維持管理、2)適正な水管理、3)水利費徴収等が不十分…