東部アフリカ地域向け税関事後調査(PCA)の講師育成プログラム(マスタートレーナープログラム)より18名の新たなマスタートレーナーが誕生

2021年5月13日

JICA(国際協力機構)は、WCO(世界税関機構)との連携によって実施している「東部アフリカ地域における貿易円滑化と国境管理能力向上プロジェクト」において、2021年4月12日から16日の5日間にわたり、ウガンダ、ケニア、タンザニア、ブルンジ、ルワンダの5ヵ国の歳入庁の税関当局を対象とした「税関事後調査(Post Clearance Audit:PCA)マスタートレーナープログラム(MTP)第5回最終活動」をオンラインで開催しました。

本MTPでは、東部アフリカ地域ベースで持続可能な研修体制および能力向上の取り組みを構築するために、5ヵ国の歳入庁の税関職員の中からPCA研修講師候補を集めてワーキンググループ(WG)を結成し、2018年9月から2021年4月の2年半にわたり、講師育成のための研修スキルと事後調査知識の向上、東アフリカ共同体(EAC)のPCAマニュアルをベースとした研修用教材の作成を、JICA、WCO、日本税関、EACの専門家の指導・助言を受けつつ行ってきました。今回の第5回活動(WG5)においては、これまでのMTPの活動に参加してきた18名のWGメンバー全員が参加し、彼ら自身が講師として模擬研修を行い、その様子を研修スキル・専門知識・教材内容の点から、JICA、WCO、EAC(東アフリカ共同体)事務局の専門家が評価しました。模擬研修においては、研修生役としてWCO職員と日本税関職員も参加し、質疑応答が活発に繰り広げられました。その結果、各講師候補が2年半前にMTPが始まった際と比して見違えるほど充実した研修を実施し、18名全員がPCAマスタートレーナー(MT)として認定され、活動は成功裡に終了しました。

MTPの参加者は、新型コロナウィルスの感染が拡大し、対面での活動実施が困難な時期においても、専門家の支援を得ながら35回に及ぶオンライン模擬研修を実施する等活発に活動を行うとともに、国内外の税関当局間のネットワークも広げてきました。また、一部の国ではすでに講師としてPCA講義や部署内の指導を実践しており、PCAに係る指導の能力向上に努めています。

本プロジェクトでは、これまでに関税評価、品目分類、情報分析の各分野においてMTPを実施し90名以上のマスタートレーナーを輩出しており、マスタートレーナーのプールを構築してきています。これらのマスタートレーナーは東部アフリカ地域において過去2年間で約12,000人に対して研修を実施する等、税関職員及び関係者の能力向上の観点から東部アフリカの貿易円滑化・税関近代化に大きく貢献しています。今回のPCA分野のマスタートレーナー18名も同プールに加わり、東部アフリカ地域はもちろん、域外も含めたアフリカ地域の貿易円滑化・税関近代化に貢献することが期待されています。

【画像】税関事後調査(PCA)マスタートレーナープログラム(MTP)第5回最終活動の終了時の様子