マールブルグ病に関するZNPHI(ザンビア国家公衆衛生院)との共同研究

2023年6月28日

当プロジェクトでは、ザンビアに生息するエジプトルーセットオオコウモリからマールブルグウイルスを検出しています。マールブルグウイルスはヒトに対し重篤な熱性疾患を引き起こす病原体です。ザンビアではこれまでヒトのマールブルグ病感染は確認されていませんが、ウイルスの重大性と最近アフリカでマールブルグ病が相次いで発生していることを考慮し、ザンビア大学獣医学部のカウンターパートを通じてこの結果を速やかにZNPHIに共有しました。2023年3月に隣国のタンザニアでマールブルグ病のアウトブレイクが発生した際には、このプロジェクトからの情報に基づきZNPHIから国民に注意喚起がなされました:
http://znphi.co.zm/what-does-the-marburg-outbreak-in-tanzania-mean-for-zambia/

マールブルグウイルスはエボラウイルスと構造が近似しており、これらはいずれもフィロウイルス科に属します。いずれのウイルスも致死率22~90%という重篤な疾患をヒトに引き起こし、発熱、体の痛み、下痢・嘔吐等の消化器系の異常、倦怠感、時には出血といった症状が見られるのが特徴です。

今年4月からは、ZNPHI、ザンビア大学獣医学部、北海道大学、本プロジェクト共同でマールブルグウイルスの疫学調査を実施するため、準備を進めています。調査の経過はこれから随時ご報告していきます!

ZNPHIについて

ZNPHI(ザンビア国家公衆衛生院、Zambia National Public Health Institute)は、保健省下にあるザンビア政府の専門機関です。その役割は、サーベイランスおよび疾病への備えと対策を行うことで公衆衛生を維持することです。強化されたラボシステムと有望な人材が戦略的・横断的に実施する情報発信がこれを可能にしています。有能な人材、統制の取れた公衆衛生緊急オペレーションセンター、強固なパートナーシップを駆使し、ZNPHIは国内外の様々な脅威に迅速に対応しています。本機関は、2015年の大統領令によって設立され、2020年に国会で法制化されました(ZNPHI ACT No. 19 of 2020)。

なお、JICAはZNPHIに対し、2023年4月から技術協力プロジェクト「感染症対策のためのラボサーベイランス強化プロジェクト」を通じた協力を開始しています。

【画像】↑5月16日 ZNPHI、ザンビア大学、北大、JICAで疫学調査に向けた事前協議を実施

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【画像】↑5月24日 日本人メンバーで事前協議。ZNPHIで実施されているJICA「感染症対策のためのラボサーベイランス強化プロジェクト」の今村専門家(中央)、兼子専門家(右から2番目)、ザンビア事務所芦田企画調査員(最右)、北大小方助教(最左)と当プロジェクトの梶原専門家(北大准教授;左から2番目)。