プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)感染症創薬の実現に向けた薬剤の至適化と前臨床試験の確立
(英)The trilateral collaboration project for anti-infectious disease drug development: from lead optimization to preclinical testing

対象国名

アジア広域(インドネシア共和国、マレーシア)

署名日(実施合意)

インドネシア共和国(2021年3月31日)、マレーシア(2021年3月5日)

協力期間

2021年9月27日から2026年9月26日

相手国機関名

インドネシア国家研究革新庁(BRIN)、IPB大学、Malaya大学、Mara工科大学、Putra Malaysia大学

日本側協力機関名

東京大学、名古屋工業大学、北里大学、ボゾリサーチセンター

背景

インドネシア及びマレーシアでは、感染症が大きな脅威となっている。インドネシア保健省は、「保健省戦略計画2020-2024(Rencana Strategis Kementerian Kesehatan Tahun 2020-2024)」において、課題とする感染症として、後天性免疫不全症候群(HIV)、結核・マラリア・デング熱・インフルエンザ・鳥インフルエンザを挙げており、それらへの対策が依然不十分であるとしている。マレーシアにおいては、特に、デング熱・HIV・マラリア・結核の感染者数増加が課題となっており、マレーシア政府は、「第11次マレーシア計画(The Eleventh Malaysia Plan(11MP)」(2016-2020)において、「ユニバーサル・ヘルスケアの達成」を重点戦略領域として定め、国民の健康な生活のために感染者数の減少を目標としている。
インドネシア及びマレーシアは東南アジアにおいて高い科学技術力を有するが、自国内で医薬品開発能力を持たず、国内で使用される医薬品の原材料のほぼ全てを輸入に依存している。JICAは、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の一環として、「インドネシアの生物資源多様性を利用した抗マラリア・抗アメーバ新規薬剤リード化合物の探索プロジェクト」(以下、「前事業」という。)(2015-2020)において、豊富な感染症創薬経験を有する日本側研究機関と、抗感染症活性を有する多様な生物資源抽出物を持つインドネシアの研究機関と共同で、マラリア・赤痢アメーバ等の原虫感染症に対して抗マラリア・抗赤痢アメーバ活性を有する物質の同定、同国内研究機関における生物資源を用いた創薬に対する技術支援・研究体制の支援を実施した。生物資源を用いた感染症創薬は、1)標的の選定・阻害剤のライブラリー整備、2)阻害候補化合物の精製・構造決定、3)阻害剤の構造至適化、4)前臨床試験による安全性と薬効の評価、5)臨床試験という5段階で実施される。前事業で、マラリア・赤痢アメーバに対して、上記1)及び2)を実現し、インドネシアの研究機関に対しての技術移転を行い、生物多様性を利用した感染症創薬に関わる研究能力の強化を実現した。
上記を踏まえ、「感染症創薬の実現に向けた薬剤の至適化と前臨床試験の確立」は、インドネシア及びマレーシアにおいて、感染症創薬に必要となる5段階の内、前事業から続くマラリア・赤痢アメーバに対しては上記3)及び4)の実施を、結核・デング熱に対しては上記1)~4)の実施を通して、両国の感染症創薬を実現するための研究体制を強化するものである。これらの共同研究を通じて得られる研究能力の向上は、将来的に他の感染症研究に対しても応用可能であると考えられる。

目標

上位目標

インドネシア及びマレーシアにおいて、感染症創薬を実現するための研究体制が強化される。

プロジェクト目標

日本側研究機関との共同研究を通じて、インドネシア及びマレーシアの研究機関の感染症創薬における薬剤の構造至適化及び前臨床試験の体制が確立される。

成果

1.実施機関においてリード化合物の構造至適化を行う研究者の能力が改善され、研究環境が整備される。
2.実施機関において安全性と薬効の評価を行う前臨床試験について研究者の能力が改善され、研究環境が整備される。
3.インドネシア及びマレーシアの生物資源抽出物(微生物、植物など)から抗結核・抗デング熱活性を有する物質が同定されることを通して、標的化合物のスクリーニング及び生物資源ライブラリーの探索を行う研究者の能力が改善され、研究環境が整備される
4.日本、インドネシア及びマレーシアの間で感染症創薬に関する国際共同研究を行う技術的基盤及びネットワークが強化される。

活動

インドネシア及びマレーシアにおいて、生物資源抽出物から抗結核・抗デング熱活性を有する物質の同定、抗マラリア・抗赤痢アメーバ活性を有するリード化合物の構造至適化、前臨床試験の実施により両国研究機関の感染症創薬における研究体制の確立を図る。

投入

日本側投入

1.在外研究員派遣:(創薬分野)
2.招へい外国研究員受け入れ:(創薬分野)
3.機材供与:(未定)

相手国側投入

インドネシア国側

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供

マレーシア側

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供