スーパービジョン教授法ワークショップ-より効果的なモニタリング&スーパービジョンの実施に向けて-

2020年2月28日

母子健康手帳の導入にはモニタリング&スーパービジョン(M&S)が重要です。定期的なM&Sを実施することにより、母子健康手帳が適切に使用されているかを確認し、定着させていきます。M&Sでは国家公衆衛生局/州保健局/市保健局/JICA専門家がチームとなって実施します。手帳を導入している全ての保健施設を回り、市保健局のスタッフが施設の保健スタッフにチェックリストに沿ってインタビューを実施します。

今回プロジェクトでは、より効果的なM&Sの実施のために、M&Sを担当するカウンターパートを対象に、これまでの活動を振り返り、「コーチング」の手法について学ぶ「スーパービジョン教授法ワークショップ」を行いました。

【日時】2020年2月18日 12:00~16:00
【開催場所】ダヴィ・ベルナディノ小児病院(ルアンダ市内)
【参加者】合計22名(国家公衆衛生局7名、ルアンダ州保健局1名、ルアンダ市保健局2名、ベンゲラ州保健局4名、ウアンボ州保健局2名、プロジェクトチーム6名)
【内容】
1.導入:プロジェクトで実施したこれまでのM&Sの振り返り
2.状況の共有と整理:M&Sを通して抱いた感情に焦点を当て、ポジティブな感情・ネガティブな感情とそれが発生した状況を付箋に書いて、全体に発表
3.講義:「コーチング」について
4.ディスカッション:コーチングをどのようにM&Sに活かせるか、アクションポイントを作成し、全体に発表
5.まとめ:感想

「状況の共有と整理」では、これまでのM&Sの実施を通してカウンターパートが抱いた感情を表出し、共有する場としました。カウンターパートから出されたポジティブな感情としては、「市保健局長や保健施設のスタッフの手帳導入に対するモチベーションが高く、嬉しかった」「保健施設のスタッフや市保健局のスタッフが手帳の導入を心待ちにしてくれていた」等の母子健康手帳の導入に対するスタッフの気持ちや、「保健スタッフの理解度が上がった」「成長曲線を保健スタッフが書けているのを見て嬉しかった」等の保健スタッフの能力向上に関する点、「JICAのサポートを得られた」「JICAが州保健局の努力を認めてくれた」等のJICAへの謝意を示すもの等が挙げられました。また、ネガティブな感情としては「医薬品・備品の欠品が目立った」「市保健局長・センター長の無関心」「保健スタッフの無断欠勤・保健施設が閉鎖していた」等がありました。カウンターパートたちが、自らが実施したM&Sを振り返り、ポジティブ・ネガティブ両方の気持ちを表出し、共感し合う貴重な場となりました。

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「状況の共有と整理」付箋にポジティブ・ネガティブそれぞれの感情を書いて発表

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「状況の共有と整理」付箋にポジティブ・ネガティブそれぞれの感情を書いて発表

そして、「コーチング」の講義では、「現場の保健スタッフが改善策を導き出すためのサポートを行う」というコーチングの考え方の基本を学びました。その後、「良い指導」と「悪い指導」を比較し、理想的な指導法について参加者で意見を出し合いました。そして、M&Sでもコーチングを活用し、「保健スタッフと共に問題を見つけ、解決していく」指導的アプローチの姿勢が重要であると紹介しました。

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「コーチング指導法」の講義

講義の後には、州ごとに今後のM&Sのアクションポイントの作成と発表を行いました。カウンターパートからは、「保健スタッフと一緒に問題の解決策を探っていきたい」「保健スタッフが目標を達成できるようにサポートしていきたい」「保健スタッフたちの尊厳を尊重したM&Sを実施したい」等、コーチングを活用してM&Sの実施方法を改善する方針が共有されました。今後の効果的なM&Sの実施・継続につながる有意義なワークショップとなりました。

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アクションポイントの発表

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アクションポイントの発表