コミュニティ啓発活動パッケージ

2021年11月12日

母子健康手帳の導入に際して、保健スタッフへの研修やモニタリング&スーパービジョン(M&S)を実施したことにより、保健施設で提供される母子保健サービスの質は大きく向上しました。しかし、多くの母子に保健サービスが届くようにするためには、サービスの質向上だけではなく、コミュニティ(地域)で「保健施設で産前健診を受ける重要性」や「母子健康手帳がもらえる」と言った内容を伝え、産前健診や分娩、小児健診、予防接種等の必要なタイミングでの保健施設の受診を促すことも必要になります。そのため、プロジェクトでは、コミュニティに対する働きかけ方を考えました。アンゴラの多くの市では、地域・健康開発ワーカー(ADECOS)が活動しています。ADECOSは、担当地域の家庭を回って、健康指導を行い、体調が悪い人を見つけた場合には保健施設を受診するように案内をしています。プロジェクトでは、既に組織されているADECOSと協力して、コミュニティでの母子保健に関わる活動を推進するため、コミュニティ啓発活動パッケージを作成しました。パッケージは、1)コミュニティリーダーの方々(村長、教員、宗教リーダー等)を招いた会合、2)地域・健康開発ワーカー(ADECOS)への母子保健に関する研修、3)ADECOSの活動のM&Sの3つを柱としました。

【画像】コミュニティ啓発活動パッケージ

コミュニティ啓発活動パッケージをプロジェクト対象3州から1市ずつ選び、パイロット活動を行いました。ルアンダ州カクアコ市、ベンゲラ州カイムバンボ市、ウアンボ州ウアンボ市が選ばれました。

アンゴラには、各コミュニティにSobaと呼ばれるコミュニティリーダーが存在します。Sobaはその村での重要事項の決定等を行うため、地域にて様々な活動を行う上でSobaの協力を得ることはとても重要です。そのため、パッケージの一つ目の柱として、コミュニティリーダーの方々に会合を実施しました。会合では、ADECOSが今後行う母子保健に関する活動内容を説明し、理解・協力を得ました。

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コミュニティリーダーの方々を招いた会合の様子

そして、二つ目の柱として、ADECOSへの研修を行いました。ADECOSが使用する教材として、健康教育に活用できる「フリップチャート」と各家庭に配布する「啓発ポスター」を作成しました。紙芝居型のフリップチャートは、住民が見る表面にはイラストを多く使用していて、裏面にはイラストに対する説明文が記載されており、それらの文をADECOSが読み上げます。多くの住民にメッセージが届くように、パイロット市で主に使用されている現地語(ウンブンドゥ語)にも翻訳しました。

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ADECOS用フリップチャートの表面(黒字はポルトガル語、青字は現地語)

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ADECOS用フリップチャートの裏面(左がポルトガル語、右が現地語)

これらの教材は、分かりやすく、多言語版のためコミュニティに受け入れられやすいと大好評で、研修で行った家庭訪問の方法を練習するグループワークも盛り上がりました。

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健康教育を行う練習の様子

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健康教育を行う練習の様子

そして、実際にコミュニティを回って、三つ目の柱であるADECOSの活動状況のM&Sを行いました。ADECOSが担当地域の家庭を訪問し、フリップチャートを使用して母子保健に関する健康教育をしている姿を視察しました。視察を通して見つかった課題や各コミュニティの特性を活かしながら、今後も継続して、母子へ保健施設受診を促していきます。