母子健康手帳の全国展開に向けたアドボカシー会合の開催

2022年4月8日

3月28日・29日に、5年間のプロジェクトの締めくくりであり、最大のイベントであるアドボカシー会合及び第8回合同調整委員会(JCC)を開催しました。会合は、ルアンダ州の会場とZoomを使用したハイブリッド形式で実施しました。保健省(公衆衛生担当副大臣、国家公衆衛生局局長、プライマリーヘルスケア部部長含む)や、在アンゴラ日本国大使館特命全権大使のご臨席も賜り、アンゴラの全18州から保健局長や州公衆衛生部門長、世界銀行やPSI等の開発パートナー等々、総勢100名が参加しました。

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公衆衛生担当副大臣や日本国大使臨席

会合では、国家公衆衛生局とプロジェクトが作成した「母子健康手帳の全国展開戦略」を全州保健局に共有し、手帳の重要性や導入に向けた方針・手順を示しました。全国展開戦略には、全国展開に必要な費用の詳細や、プロジェクト活動で得た知見をもとにした研修やM&Sの実施方法、関連する教材全てが含まれています。費用を計算するツールも作成し、各州・市の現状に応じた予算計画が立てられるようになっています。

そして、パイロット3州から1市ずつの市保健局職員母子保健担当者を招き、それぞれの市の母子健康手帳に関するグッドプラクティス(好事例)を発表していただきました。特にベンゲラ州ロビト市は、母子健康手帳の導入を通して、産後健診や小児健診に力を入れてきました。その結果、2017年には446件/年であった産後健診受診者数が、2021年には4,416件/年に増加しました。また、手帳が導入される以前の小児健診では体重測定や予防接種のみが実施されていましたが、導入後には体重以外の身体測定(身長・頭囲・上腕周囲径)、小児の発達状況の確認等がなされるようになり、小児健診の内容が充実しました。また、小児健診を受診する母親とその家族への栄養指導も積極的に行われています。

パイロット3州の州保健局職員の方々からも、プロジェクトや母子健康手帳に対する熱い思いを共有いただきました。ルアンダ州保健局のAna Isabelさんからは、「手帳導入の過程には、様々な困難があったが、その困難を強くたくましいチームで、一丸となって乗り越えることができた。プロジェクトの成果は、国家公衆衛生局、州保健局、そしてJICA専門家のチームによる努力の賜物であり、(プロジェクトが終了を迎える)今は充足感に満たされている。母子保健サービスには、手帳を通してまだまだ向上していくべき点が多々あり、全国の妊産婦死亡率・乳幼児死亡率が改善するまで、我々は努力を継続する。」と言う力強い言葉が述べられました。

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モデル市のグッドプラクティスの共有

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パイロット3州保健局職員の方々のスピーチ

アンゴラは、2025年までに母子健康手帳の全国展開を目指しています。2022年4月現在、9州で手帳の導入が開始されています。2018年の母子健康手帳の導入開始から、わずか4年程度でアンゴラ18州の内の9州(当初予定は3州)、全人口の6割を超える地域に普及しました。会合に参加した手帳が未導入の州からは、導入を心待ちにしているというコメントが寄せられました。そして、国家公衆衛生局からは、アンゴラにおける母子保健サービスの質向上や保健サービス利用率の向上のために、手帳の全国展開が重要な方針である旨が強く伝えられました。母子健康手帳は多くの可能性を秘めたツールです。参加者一同が、手帳の素晴らしさに共感し、全国展開に向けたアンゴラ保健省の強い意志が確認されました。