プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)看護サービス人材育成プロジェクトフェーズ2
(英)Project for Capacity Building of Nursing Services Phase 2

対象国名

バングラデシュ

署名日(実施合意)

2021年12月22日

協力期間

2022年3月26日から2026年3月25日

相手国機関名

保健家族福祉省医学教育家族福祉局、保健家族福祉省看護・助産総局、看護助産審議会、対象となる公立看護大学とその連携病院

背景

バングラデシュ人民共和国では、長期間に渡る保健人材不足、とりわけ圧倒的な看護師不足が問題となっています。WHOによると、看護師の数は人口10,000人当たり3.6人(2020年)であり、WHOが求める人口10,000人当たり44.5人という水準から大きく乖離していることから、看護人材の量的な充足が急務とされています。(参考:インド23.8人、ネパール33.0人、スリランカ22.6人など。WHO、2019年)。
バングラデシュの保健セクターでは、同国政府が「第4次保健・人口・栄養セクタープログラム」(2017年1月~2023年6月)(以下「4th HPNSP」という。)を策定し、包括的な保健システムの強化や保健医療サービスの質の強化等を通じて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて取り組んできました。しかしながら、医療人材の数及び医療サービスの質の観点で対策の遅れが大きな課題として指摘されています。
バングラデシュ政府の対応としては、当国のハシナ首相が2009年に看護職増員を公約に掲げ、2016年12月には1万人の新規看護師が各病院に配置されるなど、看護師不足解消に取り組んできました。また、2008年に看護学士課程(4年制)を導入し、2015年にはバングラデシュ保健人材戦略計画を策定するなど、看護人材の質の確保に向けた取り組みも強化しています。
JICAの技術協力プロジェクト「看護サービス人材育成プロジェクト(2016年~2020年)」では、バングラデシュの看護人材の質の確保のために、バングラデシュの看護教育の拠点であるダッカ看護大学(以下、「DNC」という。)、同大学が所属する国内最大の公立病院であるダッカ医科大学病院(以下、「DMCH」という。)において、看護行政の強化、看護教育の体制強化、臨地実習能力の強化の3つの柱で支援しました。看護教育の体制強化については、DNCにおいてカリキュラムに基づく看護教育の体制強化や看護研究の推進を行うための学内の体制を整備、また臨地実習能力の強化については、DMCHの学生受け入れ病棟に臨地実習指導者を配置、育成し、DNCとの連携の下、効果的に臨地実習を行うための仕組みを強化しました。
しかし、看護行政に関する支援として計画していた看護師の職務規定の改訂、キャリア・パスの開発といった長期的な視点に基づく看護人材の卒後キャリアへの支援は、バングラデシュ側看護行政組織の頻繁な人事異動もあり、その取り組みは不十分となりました。
看護教育体制の強化や実習病院側との連携の下での臨地実習については、バングラデシュ政府より医療サービスの質の向上に繋がっているとの評価を受けており、他大学への横展開が要請されています。このような看護行政の能力強化及び看護人材育成支援の他大学への展開の必要性から、「看護サービス人材育成プロジェクトフェーズフェーズ2(以下、「本事業」)という。」が実施されるに至りました。

目標

上位目標

バングラデシュ国内の看護教育の質が向上する。

プロジェクト目標

対象となる公立看護大学とその連携病院で、看護教育の実施体制が強化される。

成果

1.看護行政のキャパシティが強化される。
2.対象となる公立看護大学で学士教育の実施体制が強化される。
3.連携病院で看護臨地実習の実施体制が強化される。
4.看護大学及び関係機関のネットワークが強化される。

活動

成果1

1-1.バングラデシュの看護行政に関する取り組み、現状を調査し、日本の経験が活かせる課題分野を特定する。
1-2.看護師のキャリア・パスを開発する。
1-3.看護大学の認証(アクレディテーション)の実践拡大を行う。
1-4.特定の課題分野において、看護行政官/管理職のトレーニングを実施する。

成果2

2-1.公立看護大学の状況を調査・評価し、直接支援を行う大学を決定する。
2-2.対象となる公立看護大学において教員の質の向上(メンタリング、教員の質評価)等の仕組みを構築する。
2-3.対象となる公立看護大学における看護臨地実習能力の強化(臨地実習指導者との連携)の仕組みを構築する。
2-4.看護研究を推進するための対象公立看護大学の体制を整備する。
2-5.領域別看護教育の質の向上(基礎看護、地域看護等)を支援する。

成果3

3-1.対象となる公立看護大学から看護学生を受け入れる連携病院において、看護臨地実習の実施状況及び看護臨地実習に関する現任看護師向け教育の状況を調査する。
3-2.対象連携病院において臨地実習指導者の配置、育成を行う。
3-3.対象連携病院において看護臨地実習に関する現任看護師向け研修を実施する。
3-4.臨地実習指導者の育成・配置及び現任看護師向け研修を推進するための仕組みを整備する。
3-5.看護臨地実習制度について政策レベルでの提言を行う。

成果4

4-1.フェーズ1及び本事業の成果2を通じて得られた看護教育の体制強化に資する取り組みや研修ツール等を共有する。
4-2.フェーズ1及び本事業の成果3を通じて得られた臨地実習指導者の指導能力強化に資する取り組みや研修ツール等を共有する。
4-3.卒後看護師の能力強化に関するセミナー、フォーラムの開催を支援する(新人指導、基礎看護技術等を主なテーマとして想定)。

投入

日本側投入

専門家派遣:業務主任、看護行政能力強化、看護教育、臨床実習
研修員受入:カウンターパートの本邦研修
その他の活動経費:必要に応じてプロジェクト活動に係る現地経費

相手国側投入

カウンターパートの配置
プロジェクトのための執務スペースと基本的な執務備品
ローカルコスト負担(カウンターパート人件費、オフィス運営経費、供与機材のメンテナンス費等)