高地で稼働するエンジン

2016年5月16日

この国でも、農業機械を動かすために様々なガソリンエンジンやディーゼルエンジンが使われています。歩行型トラクタ(パワーティラー)、刈取機等の自走機械や精米機、搾油機、コーンフレークマシン等の定置型機械にモータと共に原動機として大きな役割を果たしています。

しかし、すべてのエンジンは、外国から輸入されるものであるため、エンジンの製造元が保証している性能がそのまま国内で発揮されるかどうかは明確ではありません。国内で、機械が使われる環境のうち気温と標高には大きな幅があり、特に、標高について、例えば農業機械化センターのあるパロ県と支所のある南部サルパン県のゲレフでは、2000メートル程度の差があります。この差がもたらす出力への影響は大きく、標高が高くなり、気圧が低くなる(空気が薄くなる)ほどに元々ある能力が発揮できなくなります。つまり、南部の低地でなんとかできている作業が、パロで同じ作業ができなという現象がおこることが予想されます。

パワーティラーの試験では、搭載エンジンの出力を計測する試験がありますが、気圧による出力低下を把握し、エンジンの性能を正しく評価しなくてはなりません。そこで、センターでは、試験方法づくりの一環として、供試機と計測装置を支所に運び、性能を確認し、パロでの試験結果と比較することで、試験方法基準作成の参考としました。結果、標高約450メートル(現場での気温、気圧からの計算値)にあるゲレフの支所では、メーカのカタログ値11馬力に対して94%の性能が得られ、標高約2450メートル(同じく、計算値)にあるパロでの結果77%とは大きな違いのあることが明らかになりました。

今後、この2か所での結果を成績に記載して、さまざまな標高で使われる機械のユーザに対して、機械の性能を正しく認識してもらう必要があります。

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試験前打合せ(ゲレフ)

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試験風景(ゲレフ)