2018年10月の活動ダイジェスト

2018年10月31日

仮想現実-バーチャルリアリティ-

プロジェクトは減災にかかる耐震化技術をブータン国内へ普及するための教材を開発しています。その一環で2018年10月3日、内務文化省防災局(DDM)は名古屋市立大アート&メディア・エクスペリエンス研究室(中川 隆・准教授)と共同で、一般市民向け仮想現実(Virtual Reality、以下VR)教材の試作品体験会を開催しました。VRとは、コンピュータで再現した人工的な環境を、顔に装着した大きなゴーグル型ディスプレイ装置で知覚できる技術です。DDM職員たちはVR教材を使いブータン伝統建築物内で起こる地震を仮想体験し、地震時の正しい避難方法などをゲーム感覚で学習しました。体験後、DDMは教材の使い勝手などコメントを映像デザイン専門家の中川准教授へ伝え、ブータン人に合ったVR教材へ向け改良を続けています。

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VR教材を実演する中川専門家(左)とVRを体験するDDM職員

第2回合同調整委員会JCC

2018年10月3日、プロジェクト進捗と計画などに合意する第2回合同調整委員会(Joint Coordinating Committee、以下JCC)が内務文化省文化局(DOC)で開催され、日本とブータンの関係者24名が参加しました。JCCには、青木孝義チーフアドバイザ(名古屋市立大教授)が進捗や計画について総括発表を、ブータン側の代表が活動グループ別の報告をしました。同時期、JICA本部からプロジェクト進捗をモニタリングする調査団がブータンを訪れ、これまでの成果を確認しつつ、それら成果がブータン社会に還元される道筋と課題を整理し、ブータン側代表と合意文書(ミニッツ)を交わしました。

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JCC後の集合写真

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地質鉱山局の震度計を視察するJICAモニタリング調査団

引き倒し実験と勉強会

地震に強い伝統建築物を開発しているDOC、公共事業定住省技術支援局(DES)、名古屋市立大などで構成する耐震化技術開発グループは、様々な補強を施した小規模な版築・石積み試験体を破壊する実験をティンプー市郊外で行いました。実験結果はコンピュータによる数値モデルで解析されますが、構造工学の専門家であるシュレスタ特任助教(名古屋市立大)が、解析プロセスや応用している数式など背景理論をDOCやDESの若手エンジニアが理解することを目的に、大学院レベルの高度な講義を開催し若手エンジニア達が自らの脳と手を動かし計算しました。

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補強済み試験体に人力でゆっくり負荷をかける実験

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数値モデルについて講義するシュレスタ専門家