2021年12月の活動ダイジェスト

2021年12月31日

パイロットサイト・イスナで微動観測を実施

経済省鉱山地質鉱山局(DGM)は12月13日から、パロ県(Dzongkha)のイスナ郡(Gewog)で微動観測を行っています。イスナは版築造建物の集合する地域としてプロジェクトではパイロットサイトに指定しています。100m四方のグリッドでエリアを区分けし、各グリッドで微動観測を行っていきます。SPAC(Spatial Auto-Correlation)mthodとMASW(Multi-channel Analysis of Surface Waves)methodを併用しながら地形に合わせ観測を進める計画です。微動観測データはハザードマップを作成するの利用されるとともにリスクマップの作成にも利用されます。リスクマップのために住宅地を含むエリアは観測を細かく行う予定です。観測されたデータは日本側研究者と共有されており、日本側からアドバイスを貰いながら行われています。観測の指揮は10月にJICA研修から帰国したNityamさんが行っています。この観測を通して同僚カウンターパートへの技術移転と効率的な観測手法の習得ができるようになると期待されます。

【画像】

MASW測定(写真提供は地質鉱山局)

【画像】

SPAC測定(写真提供は地質鉱山局)

実大試験体の加力実験の実施

12月28日に内務文化省文化局で実大試験体の加力実験が行われました。今回の試験体は文化局の予算で作成された石積造の2階建の建物です。石を詰めた蛇篭を積み上げて壁を作っている特徴のある試験体です。蛇篭は現地ブータンでも入手できる建材です。実験は水平ジャッキで地上階天井と屋上床を押して変形量を測定しました。これまでの実大試験体(伝統的な構法による版築造・石積造住宅)より大きな変形性能が確認できました。

今回の実験は、日本側研究者の渡航ができない中で行われ、遠隔指導をもらいカウンターパートが準備から加力までのすべてを自らで行いました。今回の経験からさらに技術が高まり、次回の実験ではよりスムーズな実施ができるものと思われます。

【画像】

加力実験の様子(写真提供は文化局)

【画像】

実験のメンバー(写真提供は文化局)

実大試験体実験の様子がブータン公営放送(BBS)で紹介されました

12月28日に行われた実大試験体実験の様子がブータン国営放送で紹介されました。下記のリンクで写真付きの記事が紹介されています。

若齢のヒマラヤ山脈に位置するブータンは、地震が発生しやすい地域です。したがって、耐震構造の建設物を建てることは重要です。昨日、文化局が国際協力機構(JICA)と共同で、石積造建物の耐震強度を試するために実物大試験体を使って実験を行いました。実験で、建物の補強に使用される材料の有効性を確認します。

実大試験は、文化省に建設された石積みの建物のレプリカで実施されました。建物は、現地で生産され、現地の市場で簡単に入手できる材料を使用して補強されています。

「このテストを通して、これらの補強手段がどれほど効果的であるか、そしてそれが建物の耐震能力をどれだけ改善したかを検証します。さらに、この実験から、石積造建物の崩壊パターンを理解することができます」と文化局の副エグゼクティブエンジニアであるPhuntsho Wangmo(PhD)は述べています。

2023年のプロジェクトの終了時に、組積造建物の耐震ガイドラインを策定するためにこの実験は役に立つと思われます。

「実験の後、建物の強度がどれだけ向上したかがわかります。だから、改善された場合は、この種の補強対策を推奨し、プロジェクト終了時には人々が選択できる異なる補強方法を示したガイドラインを作成します」とPhuntshoWangmo氏は述べています。

この5年間のプロジェクトは、構造物の耐震性を向上させ、人命と財産の損失を減らし、地震災害に対する一般的な理解を向上させ、国内の災害軽減技術を発展させることが期待されています。

BBSリポーター