ロックダウンの中、できることを進める-新設ファブラボの制度設計

2022年2月4日

世界的なオミクロン株の流行はここブータンにも及んでおり、1月中旬以降、感染者が急増しています。王立ブータン大学科学技術カレッジ(CST)から近い南部の都市プンツォリンでは1月6日からロックダウンが続いており、安全と見られていた首都ティンプーでも、1月16日から外出制限がはじまり、移動範囲や外出時間の制限が現在も続いています。

このため、1月中旬に到着した短期専門家を含むJICAの派遣専門家は、予定していたプンツォリン入りが困難になったばかりか、首都の行動制限により、自身のオフィスにも、ファブラボ・マンダラを訪ねることもできず、ホテルでの在宅勤務を強いられています。1月26日から正式にはじまった、米国ファブ・ファンデーション主催のものづくり集中訓練コース「ファブ・アカデミー」には、CSTから選抜されたプロジェクトのカウンターパート4人を含む、総勢12人がブータンから受講しています。CSTから選ばれた4人はすでにティンプーに到着していますが、国内唯一の研修ハブ施設であるファブラボ・マンダラが開けられないため、オンラインでの受講が続いている状況です。実際に機械を使った研修ができないことには、不安の色は隠せません。

こうした中で、日本人専門家が今現地でできることは何か---。1月21日の第3回合同調整委員会で、今年6月のファブラボCSTプンツォリン発足を目標として、それまでに確実に終えておかなければならないことの1つに、事業の概要とそれに必要な組織・制度の整備があることが確認されました。現地滞在中の専門家の間では、在宅勤務を強いられている今だからこそ、事業計画とファブラボ利用者ルールの原案策定を進めるべきだとの認識で、作業を進めてきました。

ロックダウン期間中、首都滞在中の専門家2人によるブレインストーミングを手はじめに、ファブ・アカデミー受講中のCST教員4人へのヒアリング、CSTチェキ・ドルジ学長への二度にわたるヒアリングを積み重ね、プロジェクトの事業地に一度も足を踏み入れられていない不利を補い、CSTの既存組織・制度の理解と新設ファブラボの組織・制度設計との整合性の確保に努めました。

こうして出来上がった事業計画と利用者規則の素案は、2月4日のオンライン定期運営会議の場で、山田浩司専門家と小暮陽一専門家によって説明が行われました。今後、他の日本人専門家やカウンターパートから寄せられるフィードバックをもとに、2月下旬までには第一案としてまとまる見込みとなっています。

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【画像】1月27日に行ったファブ・アカデミー出席者へのヒアリング

【画像】CSTチェキ・ドルジ学長へのヒアリングは2週にわたって実施