他のJICA技術協力プロジェクトとの連携-医学教育の質の強化プロジェクト

2022年6月2日

ブータンでJICAは、2020年8月から5年間の協力期間として、ブータン王立医科大学(Khesar Gyalpo University of Medical Sciences、以下KGUMSB)をカウンターパートとして、「医学教育の質の強化プロジェクト」を実施しています。保健医療人材の慢性的不足を補い、保健医療人材の卒前卒後教育、さらに現任研修などの改善を図るため、プロジェクトでは、大学全体のマネージメント強化、学部指導者の指導力や研究能力の強化、教育用機材の調達、シミュレーション教育センター、視聴覚センターの開設など、多岐にわたる活動が徐々に進められつつあります。

このプロジェクトから、「大学で医学教育用に3Dプリンターの導入を検討したいので、一度話しに来てほしい」と当プロジェクトに要望があったのは2021年12月のことでした。しかし、最初は首都での初雪に伴う官公庁休業により延期を余儀なくされ、続いて2022年1月に予定した際には、オミクロン株による感染急拡大を受けた首都のロックダウンの影響で再び延期となりました。

ロックダウンが解除され、当プロジェクトの長期専門家が拠点をプンツォリンに移すにあたり、この3Dプリンティングに関するオリエンテーションをなるべく早期に実施することが、両プロジェクトの専門家間で話し合われました。そして、6月2日(木)、当プロジェクトの山田浩司専門家が首都に出張する際、3Dプリンターを携行してKGUMSBを訪問し、医学教育プロジェクトのカウンターパート4人に対する講義と3Dデザインの基本操作の演習を行い、さらに意見交換を行いました。

山田専門家は、医療品やケア用品、自助具などのオープンソース化が、世界の医療従事者やメイカー、ファブラボのネットワークの間で進んでいること、医学教育分野でも、看護学科のカリキュラムに3Dモデリングをすでに組み込む動きがあることなどを紹介し、3Dプリントは単品もののカスタマイズ製作に向いているので、保健医療分野での導入には大きな意義があると強調しました。

KGUMSBでは、すでにネットでの独自調査などを進め、まずは近隣のファブラボを活用して3Dプリント技術の導入検討を開始しています。

また、活動の一環として、自助具のデザインなどをテーマに、6~8人程度のチームを即席で形成して短時間で試作品を作るという「メイカソン」を開催したいとのアイデアもKGUMSB側からだされました。山田専門家からは、科学技術単科大学(CST)には3Dモデリングのスキルをすでに持っている学生もいるので、メイカソンに参加させたいと回答しました。

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オリエンテーション会場の様子(写真/Tshering Palden)

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Tinkercadを使った3Dモデリングの演習(画像/山田浩司)

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3Dプリンターと実際の造形物を前に原理を説明する山田専門家(写真/Tshering Palden)