プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ピロリ菌感染症関連死撲滅に向けた中核拠点形成事業
(英)The project for institutional capacity building for eliminating Helicobacter pylori related death

対象国名

ブータン

署名日(実施合意)

2022年3月17日

協力期間

2022年8月19日から2027年8月18日

相手国機関名

王立医科大学、王立疾病管理センター、国立中央病院

背景

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、慢性胃炎や胃がんなどを引き起こす大きな原因となっていますが、ブータンをはじめ多くの途上国では、ピロリ菌への対策が十分に取られていません。この感染症の有効な治療法の一つに除菌治療がありますが,従来の抗生物質による除菌治療が効かない薬剤耐性ピロリ菌の出現が大きな問題となっており,2017年には世界保健機関(WHO)により、早急な対策が必要な感染症として位置づけられています。

ブータン政府は、第12期経済発展政策(5か年計画)において、胃がん対策を重点政策と位置づけました。胃がんの発症と死亡を低減することを目標に、最重要開発課題(フラッグシッププログラム)として、ピロリ菌スクリーニングの実施や内視鏡設備の整備などに取り組んでいますが、ピロリ菌感染症に関する適切な検査・診断・治療を提供できる体制をさらに強化するため、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)として「ピロリ菌感染症関連死撲滅に向けた中核拠点形成事業」がブータン政府より要請されました。

本プロジェクトでは、胃がん対策を最重要開発課題(フラッグシッププログラム)とするブータン政府を支援し、迅速ピロリ菌検査法の開発、適切な除菌治療のための迅速薬剤感受性試験の確立と技術移転、遠隔医療を含めた内視鏡技術研修を通じた人材育成とピロリ菌診断治療ガイドラインの作成、ピロリ菌感染症に関する全国調査と啓発活動を保健省と連携して実施していきます。

目標

上位目標

ピロリ菌感染症に関するガイドラインに沿って検査・診断・除菌治療が全国で行われる。

プロジェクト目標

ピロリ菌感染症に関する適切な検査・診断・除菌治療を提供できる体制が構築される。

成果

成果1 ブータンに適した迅速薬剤感受性試験が開発される。
成果2 RCDCにおいてピロリ菌感染症の迅速検査法が確立される。
成果3 胃癌を診断できる内視鏡医および内視鏡関連機器を正しく扱えるパラメディカルが育成される。
成果4 住民のピロリ菌除菌治療と胃がんに対する理解が促進される。

活動

成果1
1-1 ブータン人研究者のゲノム解析に関する能力を養う。
1-2 ゲノム解析を応用した迅速薬剤感受性試験を開発する。

成果2
2-1 CagA抗原を用いた迅速血清ピロリ菌検査法を開発する。
2-2 ブータンの検査施設においてピロリ菌の除菌判定を実施する。
2-3 RCDCが適切にICTの製造および品質管理を行う。

成果3
3-1 ブータン消化器内視鏡学会を立ち上げ、APSDEへ加盟する。
3-2 ブータン人内視鏡医数および内視鏡手技のベースライン調査を実施する。
3-3 内視鏡教育プログラムの対象となるブータン人医師を選定する。
3-4 APSDEおよびAMETSが開催する国際的な教育交流事業にブータン人医師が参加する。
3-5 ブータン人医師を対象としたe-learning教材等を開発する。
3-6 ブータン人医師を対象としたオンライン教育プログラムを開催する。
3-7 ブータン人内視鏡医へTrain-the-trainer(TTT)を開催する。
3-8 内視鏡専門医認定制度に関する認定単位を決定する。
3-9 内視鏡専門医認定制度に関する規則・細則を作成する。
3-10 内視鏡専門医認定制度を導入する。
3-11 日本側研究機関および関連医療施設、企業へのインターンシップにより、胃内視鏡の手技に関する研修を実施する。
3-12 パラメディカルを対象に内視鏡関連機器の正しい維持管理について研修する。
3-13 ブータン消化器内視鏡学会と連携して除菌ガイドラインを作成し、ブータン政府への提言を行う。

成果4
4-1 ピロリ菌感染症の全国調査を実施する。
4-2 地域住民を対象にピロリ菌感染症、除菌治療および胃癌に関する啓発活動を実施する。

投入

日本側投入

専門家派遣:長期1名:プロジェクトコーディネーター1
短期専門家19名:総括1、ゲノム解析1、タンパク質精製1、ICT施設の計画・運用1、胃カメラ14、有害廃棄物処理/社会調査1
研修員受入:カウンターパートの本邦研修
研究・活動に必要な機材:ゲノム解析機、バイオアナライザ電気泳動システム、胃カメラ他
その他の活動経費:必要に応じてプロジェクト活動に係る現地経費

相手国側投入

カウンターパートの配置:
プロジェクトダイレクター
プロジェクトマネージャー
施設・機材:プロジェクト実施に必要な事務所及び施設の提供

プロジェクトにかかわる現地経費:
プロジェクト実施に必要な支出(カウンターパートの人材に係るブータン国内の旅費や手当、消耗品購入や研究機材のメンテナンス他)
プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信費等)