第2回モスタル市・ネヴェシニェ市・シロキブリイェグ市 青少年スポーツ交流イベント

2018年3月9日

昨年に引き続き、プロジェクトとモスタル市スポーツ協会(以下、SSGM)はモスタル市とスルプスカ共和国(以下、RS)に位置するネヴェシニェ市と西ヘルツェゴビナ県に位置するシロキブリイェグ市の3市合同スポーツイベントを実施しました。(それぞれの市の位置関係は昨年の記事を参照)(注1)
本イベントは、異なる民族の青少年が共にスポーツをしたり、意見交換することを通して、新たな友情を築き、交流を深めることを目的としています。
今年は、それぞれの市からフットサル男子チーム、バレーボール女子チームが参加し、合計6チーム約80名の選手たちが参加しました。
イベントは、世界遺産にも登録されておりモスタル市の象徴でもある『スタリ・モスト(現地語で古い橋の意)』(注2)に全員が集合し、記念写真撮影から始まりました。

【画像】出会いはスタリ・モストにて

その後、スポーツホールに移動し、フットサル、バレーボール共に熱戦が繰り広げられました。ネヴェシニェのチームはセルビア系、シロキブリイェグのチームはクロアチア系、モスタル市のチームは、クロアチア系とボシュニャク(ムスリム)民族混合チームです。フレンドマッチとはいえ、選手たちは最後まで真剣にプレーをし、チームメイトと声を掛け合ったり、勢い余って転倒した相手チームの選手に手を差し伸べたりなど、随所に素晴らしいプレーが見られました。

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フットサルの試合

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バレーボールの試合

午後からは『Power of Sport』について考えるワークショップを開催しました。スポーツが大好きな子どもたちですから、スポーツの持つ力がどんなものかよくわかっています。今回はそのスポーツのパワーを自分たちの日常の生活にどう活かすべきかについてグループで考え、発表しました。アンケート結果からいくつ子どもたちのコメントを紹介します。

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SSGMジェナン氏のプレゼンテーション

質問:どんなスポーツのパワーをあなたの日常生活に活かすことができますか?
・スポーツを通して時間を守ることなどを学び、普段の生活でも自分の時間をより有効に使うことができています。
・未成年の喫煙や飲酒などの問題がありますが、スポーツにはそういった悪い習慣を遠ざける力があります。
・スポーツを通して自分を高め、変えていくこと、そして失敗してもあきらめない力を身に着けることができます。
・スポーツに取り組むことは、健康な体を手に入れるだけではなく、新しい友情を手に入れることができるということを友達や家族に伝えることができます。

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グループディスカッションの様子

質問:このイベントを通してどのようなことを学びましたか?
・勝つことだけではなく、友情やフェアプレーを大切にすることの大切さを学びました。
・自分のチームメイトをよりよく知る機会となりました。
・相手の出身や宗教などにこだわらず、互いを尊重して、新しい友情を築くことの大切さを学びました。

多くの参加者がこのイベントに参加してよかった、また参加したいという感想を述べてくれました。プロジェクトは、これまでも異なる民族の子どもたちを集めて多くのイベントを開催してきましたが、そのたびに思うことは、スポーツを通して集まる子どもたちには、『民族の垣根』は全くないということです。ひたむきにボールを追いかける姿にはいつも感動します。
スポーツで培った『規律』『向上心』『忍耐力』『寛容』といったことは、学校や社会の中の一員として、周りの人と共に生きていく上で大切な人間力を養います。
『精力善用・自他共栄』日本の体育の父・嘉納治五郎師範の言葉です。何事をするにも、その目的を達成するために心身の力を最も有効に働かし、団体や社会の中で相互に融和協調して、共に生き栄えることが大切なことであるという教えです。我々が伝えようとしていることが、この言葉に集約されていると改めて感じている今日この頃です。

【画像】Mostar Region Youth Sports Event 2018