プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)サラエボ県公共交通管理及び運営能力強化計画策定プロジェクト
(英)Project for Formation of Sarajevo Public Transport Management and Operation Capacity Development Plan
(ボスニア語)Projekat za Izradu Plana Razvoja Kapaciteta Upravljanja i Rada Javnog Prevoza Sarajevo

対象国名

ボスニア・ヘルツェゴビナ

署名日(実施合意)

2020年4月8日

プロジェクトサイト

サラエボ県

協力期間

2020年10月12日から2023年10月11日

相手国機関名

(和)サラエボ県交通省
(英)Ministry of Traffic, Canton Sarajevo

背景

サラエボ県は、ボスニア・ヘルツェゴビナ国の首都サラエボを含む、人口約41万人(人口センサス、2013年)を有する同国最大の県である。県内の公共交通については、幹線としてのバス、トラム、トロリーバス、フィーダー路線のミニバスにより形成されるネットワークがサラエボ県内の旅客交通の約30%を分担し、市民生活の基盤となっている。しかしながら、車両や軌道などのインフラ更新が十分に行われていない(例:サラエボ県公共交通公社(以下、GRAS)所有のトラム車両の平均車齢は36年で老朽化が著しい)ことや、GRASの経営難等により、公共交通のサービスレベルが低下(例:運行数の減少等)しており、GRASの日輸送人員は2010年から2015年にかけて31.1万人から25.4万人と約20%の減少(GRAS調査、2015)を示している。加えて、同地域では2014年から2018年の間に登録車両台数が年平均3.2%増加(ボスニア・ヘルツェゴビナ登録車両台数情報、2018)しており、先述の公共交通のサービス低下と相まって、市民の公共交通離れが進んでおり、交通渋滞が悪化している。
さらにサラエボ中心部は周囲を丘陵に囲まれた東西に細長い盆地地形であることから、汚染された大気が集中しやすく、大気質の改善は喫緊の課題となっている。また、交通分野に起因して排出される温室効果ガス(以下、「GHG」という。)は、同国で排出されるGHG全体の42%(サラエボ県環境保護計画、2017)を占めており、交通分野からのGHG削減は極めて重要な問題である。
以上のような現状を踏まえ、本事業はサラエボ県交通省の管理能力向上、及び公共交通事業体の経営能力向上等を支援し、同地における公共交通サービスの向上を達成し、ひいては大気汚染軽減を実現することを目的として実施するものである。
また、ボスニア・ヘルツェゴビナ国には、欧州復興開発銀行(EBRD)等をはじめとする各種ドナーが活動していることから、これらドナーとも協力の上、事業を実施予定である。加えて、各活動は、昨今の新型コロナウイルスの影響も加味して実施予定である。
(注)本事業は、公共交通の整備を通じて持続可能な都市の実現に資するとともに、人々の生活の質の向上に資するものであることから、SDGsゴール11「包摂的、安全、強靭で、持続可能な都市と人間住居の構築」に合致する。

目標

上位目標

サラエボ県公共交通の質的向上への寄与

プロジェクト目標

サラエボ県公共交通利用率の向上

成果

1.サラエボ県公共交通運営管理強化計画の策定
2.C/P機関職員の公共交通管理及び運営能力強化

活動

1.サラエボ県交通省の公共交通政策、戦略及び規制が改善される

1-1.サラエボ県の交通データ、既存の公共交通に関する計画及び政策を分析する
1-2.交通実態調査及びデータ分析を実施し、需要予測モデルを策定する
1-3.数値目標を有する公共交通全体運行計画を策定する
1-4.サラエボ県交通省の業務及び組織改善計画を策定する
1-5.サラエボ県交通省の料金制度の改善と事業者への財政補助策について提案する
1-6.策定した計画の実施状況についてフォローアップを行う

2.公共交通事業者のマネジメント能力が改善される

2-1.公共交通事業者の現行の組織体制、職員配置、及び財務構造を分析する
2-2.1-3で策定した全体運行計画に基づき、公共交通事業者が運行すべき、各公共交通モードの配車・要員計画を策定する
2-3.公共交通事業者の経営能力改善計画(組織、職員配置、財務構造を含む)を策定する
2-4.策定した計画の実施状況についてフォローアップを行う

3.車両、軌道及びデポの更新計画が改善される

3-1.公共交通事業者が有する既存の在庫目録(既存車両及び軌道の評価を含む)をレビューし、在庫目録を作成する
3-2.公共交通事業者が有する既存の車両、軌道及びデポのメンテナンス及び更新計画をレビューの上、更新する
3-3.サラエボ県において導入されるべき運行支援システム(例:運賃収受システム、車両位置情報システム)の基本仕様を提案する
3-4.車両および軌道の更新事業に係るサラエボ県交通省(規制主体)と運行事業者の役割及び費用分担を明確化する

4.公共交通利用の利便性が向上する

4-1.利用者サービス改善計画(車両運行情報提供システムの導入、交通結節点の改良を含む)を策定する
4-2.公共交通の運行改善に資する交通規制改善計画を策定する
4-3.観光客の公共交通利用促進計画を策定する
4-4.策定した計画の実施状況についてフォローアップを行う

投入

日本側投入

短期専門家12名

総括1、副総括1、公共交通政策1、交通調査1、需要予測1、運行計画1、事業経営1、財務・経済分析1、車両1、軌道1、ITS1、広報1

研修員受入

カウンターパートの本邦及び第三国研修

相手国側投入

カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター
プロジェクトマネージャー等
施設・機材:プロジェクト実施に必要なスペースの提供

プロジェクトにかかわる現地経費

プロジェクト実施に必要な支出(カウンターパートの人材に係る手当他)
プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信費等)