国際森林デーとプロジェクトの取組

2017年3月21日

3月21日は何の日かご存知でしょうか?正解は国連が定めた国際森林デー(注1)です。

環境関連の国際デーとしては、国際生物多様性の日(5月22日)、世界環境デー(6月5日)などが定められています。中でも南部アフリカ地域の森林保全と持続的な森林資源の活用に取り組む当プロジェクトでは、この3月21日の国際森林デーがもっとも関わりの深いものです。翌日は世界水の日(3月22日)でもあり、森林は木、木材や木の実といった目に見える資源だけでなく、澄んだ空気や水といった、わたしたちの生活を支える、生態系サービスをも提供してくれていることに思いを馳せることができます。

今回の2017年の国際森林デー、そのテーマは「森林とエネルギー(Forests & Energy)(注2)」です。日本ではエネルギーといわれると、常に安定供給される電気やガスなどがまず連想され、森林とのつながりが見えづらいかもしれません。しかし、プロジェクト対象地域である南部アフリカ開発共同体(SADC)の多くの国々では、森林が人々にもたらす、枯れ枝、たきぎ、炭などが、日々の生活に欠かせない重要なエネルギー資源になっているのです。たとえば、SADC諸国の北側に位置するコンゴ民主共和国は234.5万平方キロメートルと日本の約6.2倍、アフリカ第2位の大きな国で、周辺国を含むコンゴ盆地の熱帯雨林(注3)はブラジルのアマゾンに次いで世界第2位の面積を誇っています。コンゴ民主共和国では一般市民の生活だけでなく、工場などの産業も含めた、国全体のエネルギーの90%ほどが、森林資源に依存していますが、多くの国々で自然の再生スピードを超えた、過剰な森林の伐採が地域の森林減少の最も重大な原因の一つとなっています。

そのほかの国でも、暖房、安全な水の確保に加え、特に炊事には伝統的にたきぎや炭といった木々が使われてきており、生活に欠かせない森林資源となっています。そのため、日々の人間の生活のための森林資源の持続的利用と、人間だけでなく野生動物やすべての生態系を永続的に支える森林保全とのバランスをとることが重要です。

プロジェクトでは、3つのテーマ(森林情報、森林火災、参加型森林管理)に沿い、実務者が集まり問題と対策を考える専門家作業部会を設けています。その中でも、参加型森林管理分野では、この森林とエネルギーというテーマを重要な課題の一つととらえ、地域コミュニティの参加をサポートし、行政と住民が一体となる取組を進めています。これまでに2回の国際会議を開き、タンザニアとタイで地域住民による森林とエネルギー保全の事例を視察し、各国での政策に反映させる努力を重ねています。

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タンザニア−かまどにより燃料とまき集めの時間を節約

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タンザニア−身近で入手できる素材で手作りされるかまど

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タイ−炭焼き釜での効率的な製炭

プロジェクトではSADC事務局とともに、SADC加盟国向けに国際森林デーの意義を広めるとともに、各国が取り組むイベントや目的を共有し、森林の重要性に関する意識の向上に努めていきます。

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