明治大学大学院池上教授による日本の不服審査制度セミナーの実施

2017年8月15日

2017年8月14〜15日、明治大学大学院から短期専門家として、カンボジアを来訪した池上健教授が日本の不服審査制度に関するセミナーを実施しました。JICA/GDTのプロジェクト関係者、GDTの法務・統計部、納税者サービス・滞納部、また各地方税務署の署員など計180名が参加しました。

冒頭Vann Puthipol副総局長から、「日本のような整備された不服審査制度はカンボジアにはまだない。日本の税務行政を知らない参加者は、理解が難しいだろうが、納税者サービス改善の大変重要な活動のため、注意深く聞くこと」と挨拶があり、セミナーが開始されました。

セミナー冒頭、池上教授より納税は日本国民の義務であり、税なくして社会は成り立たたない。しかし徴税は日本国民の権利である財産権の侵害のため、法的な権利救済と納税者の利益の救済が必要。そのために不服審査制度が存在することをまず理解してほしいと説明がありました。そのような発想で業務に取り組んだことがない租税総局の職員は皆一様に驚いていました。
その後、不服審査制度の具体的な内容に入りましたが、具体的な納税者の救済手段として、1)税務署長などに対する再調査の請求、2)国税不服審判所長に対する審査請求、3)裁判所に対する課税処分の取消訴訟の3つの方法があり、セミナーではその一つ一つについて丁寧に解説されました。そして、次に審査請求を司る国税不服審判所にかかる詳細な講義があり、国税不服審判所の組織や納税者の不服に対する審査手続き手順の説明がありました。
独立した機関で、外部からの会計士や弁護士などが勤務するとは言え、大半の国税不服審判官、審査官が同じ税務職員であるのに、税務当局からも納税者からも中立の立場で職務が出来るのか、また審判官や審査官の経験の豊富さとそれを支える日本の税務行政の人材育成に参加者は感心しきっていました。
セミナー後のアンケートでは、セミナーは非常に有意義だった。もう少し突っ込んだところまで話をもっと聞いてみたいという意見が多く、セミナーは大変盛会に終わりました。

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不服審査制度セミナーの開会セレモニーに登壇する(右から)池上教授、Vann Puthipol副総局長、武藤チーフアドバイザー

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不服審査制度セミナーの受講者の様子

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不服審査制度・国税不服審判所について講義をする池上教授1

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不服審査制度・国税不服審判所について講義をする池上教授2

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閉会の辞と参加者である税務職員への激励をする武藤チーフアドバイザー