税務大学校教授による個人課税事務運営指導セミナー

2018年6月20日

2018年6月19、20日の両日、税務大学校より井上教授を招いて、個人課税事務運営指導セミナーを実施し、GDT及び税務署員100名が参加しました。
カンボジア租税総局は、2017年末に組織改革をし、GDT本部内に中小規模納税者部が新規に設置されました。これまで、中小規模納税者部が存在せず、全国民申告納税制度移行が施行されたなかでも、その担当部局が不明確であたったことから、当プロジェクトでも、その新設を強く租税総局に求めてきておりましたが、ようやく設置に至りました。新設の中小規模納税者部の役割は、各税務署で行う中小規模納税者対応業務の管理・監督・指導ですが、新規に設立されたばかりで、税務署の管理・監督、指導方法及びその進め方に当プロジェクトとしても不安を感じていました。そこで類似の業務を行っている日本の個人課税課の事務運営方法についてセミナーを開催するのがベストと考え、本セミナー開催し、講師には長く同課に従事してきた井上教授を招聘し、セミナーを実施しました。
セミナー初日は、井上専門家より個人課税業務の説明がありました。個人課税業務としては、1.個人事業者の自主申告を促すための広報活動や租税教育・税務相談・記帳指導、2.個人事業者の自主申告後、申告書のチェックや必要に応じた税務調査業務があり、これら個人課税業務をいかに効率的、効果的に運営するため、国税庁、国税局、税務署の運営・指導を行っているかについて説明がありました。
2日目午前は、GDTから現在の中小規模納税者部から、その役割や税務署の運営・指導方法を発表してもらい、それに対して井上教授と武藤チーフアドバイザー、各税務署の署員から質問を投げかけ、現在の中小規模納税者部の運営・指導方法に対する課題を指摘しました。午後は、井上教授の講義から得られた知見を基に、中小規模納税者部の税務行政の改善案について10のグループに分かれてワークショップを行いました。1.納税者登録、2.記帳指導、3.月次申告、4.年次申告、5.その他、について特に自分たちが問題を抱えている2点を選択し、ワークショップを行いましたが、思った以上にどのグループも多くの問題点を実務の中に抱えており、その結果、非常に真剣に話し合い、改善策を考えていました。2日間という短い期間ではありましたが、単に講義を受けるだけでなく、自ら改善策をアウトプットする作業もあり、非常に内容の濃いセミナーで、受講者からはもっとこういった機会を増やしてほしいというリクエストが多く寄せられました。

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セミナー開会式の様子

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個人課税課の事務運営方法について講義をする井上教授

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ワークショップで議論をする税務職員

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ワークショップでの成果をプレゼンテーションする税務職員

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セミナー総括をする武藤チーフアドバイザー

【画像】セミナー終了後の全体写真