プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)物流システム改善プロジェクト
(英)The Project for Improving the Logistics System of Cambodia

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2017年11月14日

プロジェクトサイト

カンボジア国全土

協力期間

2018年5月31日から2023年5月30日

相手国機関名

(和)公共事業・運輸省
(英)Ministry of Public Works and Transport

背景

(1)当該国における物流セクターの現状と課題

カンボジアはメコン地域の南部経済回廊を形成し、近隣国との水平分業や国際貿易の中継基地としてのポテンシャルを有する要衝に位置する。近年は、安価な労働力と立地特性を活かした縫製業等の労働集約型産業への民間投資が拡大しており、順調な経済成長を遂げている。グローバル・サプライチェーンが拡大する中で、カンボジア政府は隣国との連結性を一層向上すべく南部経済回廊やシハヌークビル港等の運輸インフラの拡張整備を進めているが、物流事業・サービスの品質・価格は依然として国際水準に劣るため、人材・政策・制度面の課題も含めた総合的な物流システムの強化が課題である。

(2)当該国における物流セクターの開発政策と本事業の位置づけ

カンボジア政府は2015年3月に新たな成長戦略として産業開発政策(Industrial Development Policy 2015-2025:IDP)を策定し、現在の経済成長を支える労働集約型産業から、よりスキル・技術労働者中心の産業形態への転換を2025年までに実現させることを目標とした。IDPでは目標達成のために包括的な施策を定め、特に2018年末までに実施する4つの優先課題として、1)工業用電力価格削減、2)物流マスタープラン(M/P)策定及び実施、3)労働市場メカニズム強化と技術訓練、4)シハヌーク州を多目的経済特区モデルとして開発、を挙げて取り組みを開始した。
このうち、本事業が関連する物流M/P策定及び実施は、運輸インフラを担当する公共事業運輸省(MPWT)を中心に推進する体制を整えつつある。MPWTは2016年10月に物流総局(GDL)を新設するとともに、National Logistics Council(NLC)及びNational Logistics Steering Committee(NLSC)の設置を通じて組織横断的に物流システム改善に取り組む体制整備を進めている。GDLは物流改善に係る計画策定、組織間調整、事業実施、評価・モニタリングを行う組織であり、NLC及びNLSCの事務局を務める。
本事業は、カンボジア政府が日本国政府に対して、物流システム改善に係る技術協力を要請したことを受けて実施する。

目標

上位目標

カンボジアの物流システムが安価で安定性と信頼性を備えるものに改善され、同国の産業構造の転換及び高度化に資する。

プロジェクト目標

GDL(物流総局)及び物流関係機関の能力強化を通じ、物流M/Pの実施が促進される。

成果

成果1:物流M/Pが策定されるとともに組織横断的な実施枠組みが整備される。
成果2:物流M/Pの優先事業の実施及び実施に必要な組織間調整が行われる。
成果3:物流M/Pの実施に係る評価・モニタリング(M&E)の体制構築と実施がなされる。
成果4:物流における地域的な連携が強化される。

活動

1-1.物流M/Pの最終化
1-2.物流M/Pのステークホルダーへの理解促進
1-3.NLC(National Logistics Council)及びNLSC(National Logistics Steering Committee)の事務局業務支援
1-4.官民連携の枠組みのレビュー及び改革

2-1.すべての優先プロジェクトに対する実施促進及び調整
2-2.一部の優先プロジェクトの実施
2-2-1.トレーニングニーズアセスメント
2-2-2.Regional Warehouseのコンセプト作成
2-2-3.物流政策の準備
2-2-4.物流法・規制のドラフト作成
2-2-5.トラック近代化

3-1.物流関連データ収集
3-2.物流データの評価分析及びM&Eレポートの作成
3-3.M&Eレポートのステークホルダーへの周知・普及
3-4.越境物流ネットワークの開発に関するデータ分析

4-1.国境エリア改善
4-1-1.カンボジア-ベトナム国境改善の促進
4-1-2.カンボジア-タイ国境改善の促進
4-2.近隣国における市場調査

投入

日本側投入

長期専門家、コンサルタント、本邦(または第三国)研修、資機材供与

相手国側投入

カウンターパートの配置、プロジェクトオフィススペース・光熱費等