プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)持続的自然資源管理能力強化プロジェクト
(英)The Project for National and Sub-national Capacity Development for Sustainable Natural Resource Management

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2020年3月18日

プロジェクトサイト

プノンペン都、ストゥントレン州

協力期間

2020年10月14日から2024年10月13日

相手国機関名

(和)環境省自然保全・保護総局、農林水産省森林局
(英)General Directorate of Administration for Nature Concervation and Protection, Ministry of Environment Forestry Adminstration, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries

背景

カンボジアは国土の約半分が森林で覆われており、常緑林、落葉林、内陸浸水林、海岸マングローブ林等の多様なタイプの森林が存在します。これらの森林は、多くの希少な野生動植物の生息地として、地球温暖化防止に貢献する二酸化炭素吸収源として、そしてそこに暮らす人々の生存に欠かすことのできない食料や生活物資の供給源として、その持続的な管理を実現することの重要性が広く認識されています。
しかし、カンボジアの森林面積は周辺メコン諸国と比較しても減少傾向が著しく、国土に占める森林の割合は2006年の59パーセントから2018年の47パーセント(カンボジア環境省、2020年)へと大きく減少しています。その主な原因は、換金作物生産のための土地利用転換、違法伐採、非持続的な森林資源の収奪です。森林の減少は、土壌流出や生物多様性の損失を引き起こし、人口の約8割が暮らす農村の生活に負の影響を与え始めています。農村部の脆弱化は都市住民に間接的なコスト負担を強いることとなり、より大きな視点に立つと、森林の減少・劣化に伴う炭素排出の増加は、地球温暖化を加速させるリスクとなります。
カンボジア政府は、国際社会の支援を受けながら、困難な状況にある自国の貴重な森林資源を適切に管理するための努力を続けています。その過程において、森林セクターの主要ドナーの一つとして、JICAも重要な役割を果たしてきました。1999年の個別専門家派遣を皮切りに、2001年からは足掛け10年にわたる森林分野の人材育成プロジェクトを実施し、2010年からは、機材供与や技術協力プロジェクトを通じ、主に森林分野の気候変動対策である「途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)」を実施するための準備フェーズに対する支援を行ってきました。
本技術協力プロジェクトは、JICAがこれまでに森林分野の協力で積み重ねてきた知見を踏まえながら、中央政府及び州レベルにおける持続的な自然資源管理の政策支援と実行支援を通じて、保護区及び森林の管理を担当する国・地方政府のスタッフの能力を強化することにより、必要な政策・措置が策定、実施され、カンボジアにおける森林減少・劣化が低減されることを目指しています。

目標

上位目標

保護区管理及び持続的な森林管理を強化する必要な政策・措置を策定し実施することにより、森林減少・劣化を低減させる。

プロジェクト目標

保護区管理及び持続的な森林管理を担当する国・地方政府のスタッフが、持続的な自然資源管理に必要な技術・知識を修得する。

成果

成果1.政策支援

1-1.保護区管理に関する主要な政策・措置の策定・実施が促進される。
1-2.持続的な森林管理に関する主要な政策・措置の策定・実施が促進される。
1-3.国家REDD+戦略実施のための行動・投資計画が促進される。

成果2.準国レベルでの実施支援

2-1.保護区管理及び持続的な森林管理を促進するための州職員の能力が向上する。
2-2.コミュニティ森林(CF)における持続的な自然資源管理のための地域コミュニティの能力と、コミュニティ保護区(CPA)における持続的な自然資源管理のための地域コミュニティーを支援するための州レンジャーの能力が向上する。

活動

1-1-1.国家保護区戦略管理計画(NPASMP)を推進するための行動計画の促進を支援する。
1-1-2.保護区の管理計画を策定するための技術ガイドラインに基づき、国および地方州職員の能力強化を支援する。
1-1-3.国家保護区管理に関する新たな課題への取組みを支援する。
1-2-1.生産林戦略計画(PFSP、起草中)の推進を支援する。
1-2-2.持続的な森林管理に関する新たな課題への取組みを支援する。
1-3-1.行動・投資計画の推進を支援する。
1-3-2.国家森林モニタリングシステム(NFMS)の質的向上を支援する。
1-3-3.JCM-REDD+の促進を支援する。

2-1-1.州職員の能力向上のための訓練計画を策定し実施する。
2-2-1.パイロット活動を行うコミュニティ森林(CF)を一ヶ所選定する。
2-2-2.選定されたコミュニティ森林(CF)において活動を行う。
2-2-3.レンジャーの能力向上のための訓練計画を策定し実施する。

投入

日本側投入

長期専門家(チーフアドバイザー/森林政策、業務調整/能力強化)
短期専門家(森林モニタリング等)
機材(車両、森林モニタリング用機材、事務機器等)
本邦研修/第三国研修
現地活動費

相手国側投入

カウンターパート人材の配置
執務スペース及び必要な機器
事業運営予算