プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)プノンペン都庁及び公共事業・運輸省下水管理能力強化プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development for Sewerage Management of Phnom Penh Capital Administration and Ministry of Public Works and Transport

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2018年10月30日

協力期間

2019年4月2日から2023年4月1日

相手国機関名

(和)公共事業・運輸省およびプノンペン都公共事業・運輸局
(英)Ministry of Public Works and Transport(MPWT)of Cambodia and Department of Public Works and Transportaton of Phnom Penh Capital City(DPWT/PPCC)

背景

カンボジア王国(以下、「カンボジア」という。)の首都プノンペンでは、急速な人口増加(約100万人(1998年)から約150万人(2008年))と都市化により汚水量が増大しているが、下水道施設は未整備のため、汚水は腐敗槽から排水路を通って湖沼・湿地帯で自然浄化される仕組みとなっている。しかし、腐敗槽は適切な維持管理がなされておらず、実態は、汚水が不完全な処理のまま放流されている。また近年、開発事業に伴う湖沼・湿地帯の埋め立てが進み、自然浄化機能が低下している。特にチェングエック湖は、面積が2003年から2015年にかけて大きく減少し、汚水放流による水質悪化が著しい。また、処理区内の排水路を流れる汚水からの悪臭や、雨季等の排水不良により水路の汚水が溢れることで周辺一帯が浸水し、環境衛生面でも悪影響を及ぼしている。
カンボジア政府は、「カンボジア国家戦略開発計画(National Strategic Development Plan(NSDP))2014-2018」にて、プノンペン都を含む大都市の下水・排水施設の整備と維持を重点項目としている。また、プノンペン都は「都市開発戦略」(2005年)において水質汚濁の防止及び下水処理の促進を目標とし、同戦略に基づく「プノンペン都都市開発計画(White Book on Development and Planning of Phnom Penh)」(2007年)にて下水道整備の優先地域を制定している。
上記カンボジア政府側の計画を具体化するためにカンボジア政府の要請に基づき、JICAは開発計画調査型技術協力「プノンペン都下水・排水改善プロジェクト」(2014~16年、以下、「開発計画調査」という。)を実施し、同プロジェクトにおいて、2035年を目標年次とする「汚水対策マスタープラン(以下、「M/P」という。)」が策定された。同M/Pはプノンペン都全体における汚水処理対策に関して、技術面、組織・制度面、財務面から現状を調査し、適切な対策に向けての施設整備計画、法制度整備計画、組織制度構築、人材育成計画を策定した。
また、同M/Pでは汚水対策分野において、プノンペン都で汚水対策事業を実施していくためには、質量共に充実した組織および法制度の整備を推進していくことが提言されており、下水道分野における法整備・制度強化の必要性が高い。

目標

上位目標

プロジェクトで作成された法、省令(Prakas)、技術指針、条例(Decca)が下水処理施設の計画、建設、運営・維持管理時に参照される。

プロジェクト目標

MPWT及びDPWTの下水道管理の基本的な体制が強化される。

成果

1.MPWT(公共事業・運輸省)の下水道管理に係る法・制度の枠組みが強化される。
2.DPWT(プノンペン都公共事業・運輸局)の下水道管理に係る法・制度の枠組みが強化される。

活動

成果1.MPWTの下水道管理に係る法・制度の枠組みが強化される。

1-1.法的枠組みを検討するためのワーキンググループを構築する。
1-2.カウンターパートの下水道の法・制度に係る理解度を確認する(ベースライン)。
1-3.現状の下水道管理に係る法・制度、基準のレビューを行う。
1-4.他国の下水道管理に係る法的枠組みのレビューを行う。
1-5.現状の下水道管理の法的枠組みにおいて強化すべき点を分析する。
1-6.下水道管理の法案及び省令案を策定する。
1-7.カウンターパートの法案及び省令案に係る理解度を確認する(エンドライン)。
1-8.下水道施設の計画、設計及び維持管理に係る技術指針を検討するためのワーキンググループを構築する。
1-9.カウンターパートの技術指針に係る理解度を確認する(ベースライン)。
1-10.他国の下水道施設の計画、設計及び維持管理に係る技術指針をレビューする。
1-11.技術指針案を策定する。
1-12.カウンターパートの技術指針に係る理解度を確認する(エンドライン)。

成果2.DPWTの下水道管理に係る法・制度の枠組みが強化される。

2-1.DPWTにおける下水道管理の法的枠組みを強化するためのワーキンググループを構築する。
2-2.カウンターパートの下水道の法・制度に係る理解度を確認する(ベースライン)。
2-3.汚水管理に係る既存の条例をレビューする。
2-4.他国の下水道管理に係る条例をレビューする。
2-5.現状の下水道管理の法的枠組みにおいて強化すべき点を分析する。
2-6.汚水管理に係る条例案を策定する。
2-7.カウンターパートの条例案に係る理解度を確認する(エンドライン)。
2-8.「汚水管理マスタープラン」を参照し、DPWTにおける下水道管理を担当する組織の役割、責任・権限、人員数を定める。
2-9.DPWTにおける下水道管理を担当する組織の予備的な体制案を策定する。
2-10.無償資金協力で建設される下水処理施設の財務計画を検討するワーキンググループを構築する。
2-11.カウンターパートの財務計画に関する理解度を確認する(ベースライン)。
2-12.無償資金協力で建設される下水処理施設の財務計画に関し協議し、理解を深める。
2-13.カウンターパートの財務計画に関する理解度を評価する(エンドライン)。

投入

日本側投入

1.専門家(長期):総括/法制度・実施体制構築支援(協力対象:プノンペン都公共事業・運輸局)、法制度整備(協力対象:公共事業・運輸省)、業務調整
2.在外事業強化費

相手国側投入

1.カウンターパート(以下、「C/P」という。)の配置・C/Pにかかる経費負担
2.専門家派遣時の執務用オフィススペース
3.日本側の投入に含まれない、その他必要なプロジェクト運営費