チリ・カトリカ大学工学部で、日本とペルーの専門家による第2回セミナーが行われました。

2016年7月15日

KIZUNAプロジェクトの一環として、今年5月の第1回セミナーに引き続き、チリ・カトリカ大学工学部構造地盤工学科修士コースの第2回セミナーが7月11日から15日までの4日間、サンチアゴで開かれ、同大学の教授陣や学生など約70人が参加しました。日本とペルーの専門家3人が、建造物の耐震改修技術などの最新の研究成果や適用事例を発表し、参加者と意見交換を行いました。

日本からは国立研究開発法人建築研究所国際地震工学センターの菅野俊介・特別客員研究員が日本の耐震診断の考え方や診断の実施例を紹介した後、建築研究所の坂下雅信主任研究員が日本の学校やオフィスビルなどで近年行われた耐震改修・補強の事例を紹介しました。また、ペルー国立工科大学のカルロス・サバラ教授が、ペルー国内の社会的事情を背景に現存する違法建築やレンガ造りなどの建造物について説明した後、日本側の協力を得ながら日本・ペルー地震防災センター(CISMID)で取り組まれているレンガ造り建造物に対する耐震実験の成果を発表しました。セミナー外では、構造地盤工学科のサンタ・マリア教授とサバラ教授らがコンクリート壁に対する耐震性能の実験結果を披露しながら意見交換し、3カ国間の学術交流を深めました。

本修士コースでは、KIZUNAプロジェクトのカウンターパートであるチリ国際協力開発庁が中南米カリブ諸国の学生5人に対して奨学金を支給しています。JICAは建築研究所などから短期専門家を派遣して耐震工学に関するセミナーを年3回開催し、耐震工学分野の最新の知見をチリと中南米カリブ諸国に広く普及することを目指しています。

(文・写真、武田和代)

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チリ・カトリカ大学で開かれた第2回セミナー。

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コンクリート壁の耐震性能について議論する日本、チリ、ペルーの研究者ら。