日中友好環境保全センター「日中環境保護ハイレベル円卓会議」−環境にやさしい社会構築プロジェクト 日中国交正常化45周年記念事業−

2017年6月14日

2017年6月

日中友好環境保全センターは、日本の無償資金協力と中国政府の資金により、1996年に北京市内に開所し、昨年20周年を迎えました(2016年6月に20周年式典を開催)。同センターとJICAは、1992年以来、長期に亘って技術協力プロジェクトを行っており、現在はフェーズ5にあたる「環境にやさしい社会構築プロジェクト」を実施しています。同プロジェクトの一環で、日中国交正常化45 周年記念事業を開催しました。

2017 年6 月14日、日中友好環境保全センターにおいて、中国環境保護部、日本環境省の支援を得て、JICAと同センターの共催により、「日中環境保護ハイレベル円卓会議」を開催しました。午前中は、「日本のグリーン転換の経験の交流」、「環境管理のイノベーション−グリーン消費とグリーンサプライチェーン−」という2つのテーマで、基調講演及びディスカッション、午後には3つのテーマに分かれた分科会という構成で、約300人が参加する盛大な会議となりました。

開幕式では、中国環境保護部・黄潤秋副部長から、大気・水・土壌の3分野を重点課題として取り組んでいること、地方政府による監督管理体制を強化している現状が述べられました。今後の日中協力にあたっては、長期的な視点で計画を立て、協力の範囲を拡大し、さらに発展させていきたい意向が示され、同センターのプラットフォーム機関としての役割に期待するとの発言がありました。日本環境省・関荘一郎顧問は、「新たなフェーズに入ったセンターが、中国の環境課題解決に貢献できることを期待する。気候変動など世界的な課題への対処、SDGsに向けた努力が引き続き必要」と応じました。

環境と両立しうる発展を実現するために、企業・市民含めた社会全体として取り組んでいくことを目下中国では「グリーン転換」と呼び重視していますが、テーマ1「日本のグリーン転換の経験の交流」では、昨年JICAの支援により実施した訪日調査などの成果を踏まえ、グリーン転換に関する研究結果の報告が行われ、有識者を交えたディスカッションが行われました。基調講演の中では、日本における1)法律法規の役割、2)民主的な協議と総合的な行政体制システム、3)市場メカニズムの活用、4)地方自治体が果たした役割、5)企業・メディア・NGO・市民を含めた社会ガバナンスが、今の中国にとって参考になるとの報告がありました。「後発の優位性」を生かして、中国でのグリーン転換の取り組みが進展することが期待されます。テーマ2「環境管理のイノベーション−グリーン消費とグリーンサプライチェーン−」では、グリーン転換すなわちグリーンな発展のために社会全体が取り組んでいく必要がある中、市民=消費者の取り組み(グリーン消費)、企業=生産者の取り組み(グリーンサプライチェーン)は不可欠な要素であり、その実現のため市民や企業に政策等を通じてどのように働きかけるのが有効か、といった論点につき有識者や企業の代表の間で議論が行われました。

午後は3つの分科会に分かれ、関係者が高い関心を持つテーマ(環境知識の普及、環境技術評価と成果の転化(実用化)、持続可能な農村環境保護)について、専門家による講演・意見交換が行われました。日中双方の最新の取り組み状況や経験が紹介され、プロジェクトにおける今後のさらなる協力展開に向けた大変良い機会となりました。

2016年4月より開始している「環境にやさしい社会構築プロジェクト」については、2017年5月26日に第2回合同調整委員会が開催され、1年間の協力成果を振り返り、今後の新たな1年間の具体的な協力内容が双方で確認されました。同プロジェクトは、中国における環境問題への対応能力を総合的に強化するため、政策・法制度や環境汚染防止技術、基盤整備に関する協力、更には市民や行政部門等の意識向上、能力育成などの取り組みを進めていくものです。大気・水・固体廃棄物等の課題に取り組むと同時に、グリーンサプライチェーンや環境技術の市場化等に関する取り組みも進められる予定です。日中協力の成果が、中国の政策策定にインプットされる、或いは教材や通知が発表される等、目に見える形で発現することを目標として活動を進めていくことで合意しました。今後の活動状況は、JICAホームページ、中国事務所微博、ニュースレター等でも引き続きご紹介していきます。

主な報道(現地メディア)

【画像】

日中環境保護ハイレベル円卓会議の様子

【画像】

当日は300名を超える参加者

【画像】環境保護部・黄副部長、環境省・関顧問など集合写真

【画像】

午後の分科会(環境知識の普及)

【画像】

午後の分科会(環境技術評価)

【画像】

午後の分科会(農村環境保護)

【画像】

第2回合同調整委員会