パイロット事業サイトでの組合事業計画ワークショップ(トリマ県・リサラルダ県)

2023年3月30日

2023年、新たな年に入り、カウンターパート機関ADR(農村開発庁)では新年度ならではの慌ただしさ(人員交代や契約行為など)がありました。そんな中、プロジェクトチームではパイロットサイトでの活動が続きましたので、2サイトのニュースをまとめて発信します。

(1)トリマ県クンダイ市

主に以下のような活動が実施されました。

1)ベースライン調査結果の発表

他の先行サイトと同様に調査結果を報告しました。当地では長引いた国内紛争の影響で貧困率が高く、調査対象の全世帯が月額最低賃金以下(3万円/月)、極度の貧困世帯(ADRでは最低賃金月約3万円の50%以下と定義)がその内の約60%という厳しい状況でした。ただし、優れたリーダーの存在と組合員間の高い信頼度という大きな強みがあります。

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現地出張前のADR内での結果報告会議(副長官も参加してくれました)

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組合理事会メンバー向け報告会の様子(2時間以上かけて集まってくれました)

2)組合事業計画ワークショップ

プロジェクトチームの分析結果から導き出された組合が取り組むべき目標や活動オプションなどを提示しました。今回の提言から、より一層「総合的・包摂的」かつ「平和に貢献する」というJICA・ADRが大切にするポイントが伝わりやすくするよう、提言マトリックスに工夫を加えて提示しました。それを受け、支援対象組合及び関係機関職員の参加のもと、活発な議論が行われました。後日、「調査に基づいて、戦略的に計画を立てていく分かりやすい手法で、参加者はとても満足していた」とうれしいコメントを組合長から頂きました。

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活発な議論の様子(手前は組合長。優れたリーダーです)

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参加者が策定した戦略マップ(書記は地域の若者がつとめてくれました)

(2)リサラルダ県キンチア市

主に以下のような活動が実施されました。

1)ベースライン調査結果の報告

このサイトでは、対象のカカオ組合に対して各種外部組織からの支援の可能性が高いという特徴がありました。具体的には、県や地元鉱山会社などの支援でカカオの加工施設を整備中であること、県内大学の技術的な支援を得ていることなどです。

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市役所での調査結果報告の様子(組合理事会、市、ADRが参加)

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組合を支援する地元鉱山会社の職員との改修中の組合施設の視察

2)組合事業計画ワークショップ

他サイトと同様に組織・生産・流通面の提案に加えて、同地では産官学連携の可能性が高いことを踏まえ、支援効果の最大化や持続性の確保のため、DRIP地域協議会(DRIP意訳:平和構築のための包摂的な地域開発)を提案し、関係者から大枠の合意を得ました。この提案についてはADR職員との会議において、モデル化の可能性ありという評価であったため、同サイトのパイロット事業で色々と試し、形づくっていこうと考えています。

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活発な議論の様子

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参加者が策定した戦略マップ

これでプロジェクト初年度の支援モデル形成のために活動している4サイト全てにおいて、組合の包摂性を確保した持続的な発展のためにやるべきことが明らかになりました。2023年度はこれらを着実に実施・達成していけるような伴走支援を続け、コロンビアの平和構築のために引き続き貢献していきます。