第2回本邦研修の実施:前編

2020年1月21日

2019年8月

2019年8月27日~9月28日の約30日間に亘り、2回目の本邦研修を行いました。この研修は、日本の農業普及制度の概要や、普及人材育成の方策などを学び、キューバの普及体制の強化に役立てることを目的としています。今回は、C/Pである穀物研究所本部の普及関係者4名とその傘下にある地方試験場普及関係者3名に加え、普及体制の更なる強化を目的に、生産者と密接な関係にある穀物公社の普及関係者7名も含む計14名が参加しました。

2017年に実施した第1回本邦研修からの教訓も踏まえ、今回は、日本の農村の理解をしたうえで、日本の普及制度について学ぶことができるよう、日本との農村の歴史的変遷や課題の変化に伴うさまざまな取組の事例を盛り込んで、講義と現場視察を多く組み合わせたプログラムとしました。

研修前半は、まず、千葉県の取組み事例を中心に、農業普及の概論や日本の農業普及制度や県レベルでの取り組み、また農業普及と試験研究とのリンケージ、普及人材育成の取組みなどを講義や圃場見学を通じて学びました。特に研修員は、農業政策と県レベルの取組みとの関連や普及の位置づけ、また農業普及と試験研究の関連や、農家との連携方法等について関心が高かったようで、多くの質問が寄せられました。

また、キューバと同様に大規模農業が行われている北海道では、トウモロコシや豆類(枝豆)の栽培やその収穫後処理施設の見学などを通じ、JAの役割や活動や生産者レベルでの様々な工夫事例について紹介しました。研修員達は、日本のJAの組織力、またその取り組みの多様性に衝撃を受けており、キューバの穀物公社や農業組合に取り入れられるところはないかと、口々に議論していました。研修員達は、全国各県から派遣されており、キューバで構築されつつある農業普及システムの中でもそれぞれ立場の異なる職位にあります。こうした研修員間での活発な議論を通じ、今後の活動における関係者間のネットワークが深まったことは嬉しい限りです。
(国別研修実施管理(2):谷口 雅彦)

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日本の農業普及制度の概要および試験研究と農業普及の関係等についての講義(千葉県農林総合研究センター)(8月29日)
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム

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農家の選果場見学
収穫したトウモロコシは農家所有の選果場で選果・箱詰めされ、JAの集出荷場に運ばれる。同農家は2Lサイズのみ箱詰め、Lサイズは値崩れ防止のため出荷しない
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム