航海訓練にかかる2022年2度目の現地渡航:漂流者救助訓練・消火訓練

2022年6月16日

2022年5月4日~16日、ジブチ沿岸警備隊(DCG)を対象とした運航能力向上を図る活動(成果2関連)のために、JICA短期専門家(日本海難防止協会)の第5次派遣が実施されました。

今回の派遣期間では、航海訓練の一環としてDCGの巡視艇乗組員9名に対して(1)漂流者救助訓練、(2)消火訓練等を行いました。

漂流者救助訓練

潜水士が現場で対応できる場合には、漂流者に救命胴衣等を着用させて浮力を確保します。

1)乗組員が要救助者を小型ボートに手で引き上げる方法
要救助者が救命胴衣を着用している場合、引き上げるタイミングを合わせることも兼ねて「いち(1)、に(2)」の合図で要救助者の救命胴衣を2度海に沈め、3度目に救命胴衣の浮力を利用し引き上げます。救命胴衣の浮力を活かす要領をつかむまでは何度も失敗しましたが、最終的には、スムーズに要救助者を小型ボートに引き上げることができるようになりました。

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巡視艇による漂流者への接近

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小型ボートへの漂流者揚収(係留船での訓練)

2)ネットを利用する方法
小型ボートよりも高さのある20m型巡視艇に漂流者を手だけで引き上げることは困難なため、ネットを利用する方法があります。乗組員は、フランス語で「アン(1),ドゥ(2),トロワ(3),カトル(4)」時には、ソマリア語で「クゥ(1),ラバ(2),サダッ(3),アファル(4)」と声を合わせ、要救助者の体勢をできるだけ水平に保ち、安全に引き上げることができるようになりました。JICA専門家から「Good! C’est bon! -(いいね!)」と褒められるたびに訓練への意欲が高まっていく姿が見られました。

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ネットを使用した巡視艇への漂流者揚収訓練(係留船での訓練)

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ネットを使用した巡視艇への漂流者揚収(洋上での訓練)

消火訓練

乗組員は、資器材取扱・配置等の事案対応時の一連の手順を確認しながら訓練しました。放水時の水の勢いをコントロールするための二人組によるホースの持ち方や体を安定させるための足の位置の詳細な指導を受け、消火技術の向上を図りました。

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消火訓練

灼熱の中で意欲的に訓練に臨む乗組員

ジブチは一年を通じて暑い国として知られ、7月のピーク時には最高気温が40度を超えることも珍しくありません。今回は連日気温35度を超える炎天下の中でも、尾﨑専門家、甲斐専門家の風の向きを考慮してブイへ船を寄せる操船技術等、様々なアドバイスを確かめるように繰り返し練習し、また、小まめに休憩を取るなど、体調管理にも留意しながらの訓練となりました。巡視艇乗組員は将来の訓練指導官となることを目指し、暑さに負けず真剣な眼差しで訓練に臨む姿が印象的でした。

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修了式(巡視艇乗組員)

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修了式(集合写真)