国際図書館連盟(IFLA)サテライトミーティング「障害者を含むすべての人のための図書館サービス」開催とその成果

2019年9月13日

2019年8月20日、21日と、エジプトのアレキサンドリア図書館にて、世界図書館情報会議(WLIC)2019 IFLA(注)サテライトミーティング「障害者を含むすべての人のための図書館サービス(Equitable Library Services for Everybody Including Persons with Print Disabilities)」が開催されました。

当ミーティングはIFLAの「印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館セクション(LPD)」および「特別なニーズのある人々に対する図書館サービスセクション(LSN)」が主催し、JICA、情報通信省、国立図書館、アレキサンドリア図書館との協力で実施されました。ミーティングでは、以下の3つを目的として行われました。
・難民のニーズに配慮した、非識字者およびプリントディサビリティのある人を含むすべての人のためのアクセシブルで理解しやすい資料の出版と製作の推進
・アクセシブルなフォーマットで出版物(特にアラビア語による出版物)を世界中で共有するためのWIPO(世界知的所有権機構)マラケシュ条約の実施
・国際的なステークホルダーとの協働による、難民への対応を進めるための地域および世界的な図書館ネットワークの構築

この目的に沿って、世界各国から集まったセミナー関係者より課題解決のための講演や好事例等が2日間にわたり紹介されました。参加者は2日で100名を超え、現地エジプトからの図書館関係者も多く参加し、アクセシブルな出版物の製作やその普及に向けて多くの質問や問題提起もあり大変活発な議論がされました。

セミナーでは障害のある当事者スピーカーらも登壇し、「将来的には、図書館が障害者を含むすべての人にインクルーシブになり、特別な障害者サービスは必要がなくなることが目標である」と述べ、会場からは賛同の意見が多く聞かれました。

マラケシュ条約の批准については各国のスピーカーから自国の現状について情報共有され、批准に向けて活動中のエジプトに向けては国内外で協力して取り組みを進めるための重要なミーティングになったと思われます。

当プロジェクトのカウンターパート団体である国会図書館および情報通信省は、DAISY図書製作者育成を通じ、アラビア語のアクセシブルな出版物の製作やその普及のために取り組んでいる本プロジェクトを紹介し、エジプトを含む周辺アラビア語圏からの参加者に大きなインパクトを与えました。

(注)国際図書館連盟:Library Associations and Institutions(IFLA)
書誌活動、情報サービス、図書館員の養成など図書館活動の全分野にわたって国際的な規模での相互理解・協力、討議、研究・開発を推進することを目的として、1927年に設立された団体.世界各国の図書館協会や図書館・教育研究機関を会員とする

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IFLAサテライトミーティングの会場の様子

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WIPOアクセシブル・ブック・コンソーシアム(ABC)プロジェクトManocha氏による基調講演

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JICAエジプト事務所大村所長による講演

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モデレーターを務める河村宏総括

【画像】講演者と主催者の集合写真