障害のある子どもたちのDAISY体験会

2019年12月3日

2019年7月から10月にかけて、アレキサンドリア図書館で、障害のある子どもたちを対象とするDAISY(注)体験会を開催しました。

体験会は、「読書障害者用DAISY図書製作ソフトウエア普及促進事業」や、当プロジェクトを通してDAISY図書製作研修を実施してきた、アレキサンドリア図書館のデジタル録音図書部門と、タハ・フセイン図書館(視覚障害者サービス)、また、スペシャルニーズ図書館(視覚障害以外の障害者サービス)が中心となって開催しました。これまでのDIASY図書製作研修の参加者が製作した、アラビア語のテキストと画像、音声が入った絵本や、虫や動物の紹介などの科学的な内容のコンテンツを用意し、1人1台のノートパソコンとヘッドセットで、子どもたちが読書体験をできるようにしました。

第1回の7月25日は、タハ・フセイン図書館で体験会を行い、5歳から11歳の、視覚障害のある男子5名、女子4名の計9名が参加しました。視覚障害のある子どもたちを十分サポートできるよう、参加者を2つのグループにわけて2回のセッションを行い、1対1でサポートしました。また、聴覚との重複障害のある子どもには、個別セッションを行いました。最初にDAISYの概要と簡単な操作を説明し、みんなで一緒に操作練習をしてから、各自好きな本を選んで読書体験をしました。子どもたちは、絵本の内容を楽しむと同時に、スピードの変更や、フレーズ移動なども楽しみました。

第2回の8月4日は、スペシャルニーズ図書館で実施し、9歳から11歳のディスレクシア(読みの障害)の男子5名、女子3名の計8名が参加しました。ディスレクシア当事者であり、現在は情報理工学を学んでいる大学院生が、プロジェクトのインターン(実施団体の1つであるNPO法人支援技術開発機構のインターン)としてこの体験会に参加し、自身のディスレクシアやDAISYを活用して学んできた体験を話しました。「なぜ、大学でプログラミングを学んでいるのですか?」という子どもからの質問に、「自分と同じような困難を持っている人を支援できるようなツールを作りたい」という夢を語りました。その後、DAISYの操作練習と、各自読書体験をしました。ディスレクシアの子どもたちは、それぞれ自分の読みやすさに合わせて、文字を大きくしたり、色のコントラストを変えたりしながら、読みました。

第3回の9月3日は、再びタハ・フセイン図書館で実施し、8歳から12歳の、視覚障害のある男子3名、女子5名の計8名が参加しました。普段音声図書を聞いている子どもたちからは、見出しやフレーズでのナビゲーションができてとても便利だと思ったという感想や、もっといろんな本を読みたいという感想がありました。中には、気に入った本を繰り返し読んでいる子どももいました。

今後も12月に予定しているワークショップなどを通して、潜在的なDAISYの利用者への普及を進めていく予定です。

(注)DAISY=Digital Accessible Information System:アクセシブルな情報システム。
目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができるDAISY録音図書(音声DAISY)、音声にテキストや画像をシンクロ(同期)させることができるマルチメディアDAISYなどがあります。

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スペシャルニーズ図書館でのDAISY読書体験

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色を変更して読む様子

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操作を教えるタハ・フセイン職員

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タハ・フセイン図書館でのDAISY読書体験

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DAISYの操作説明をするデジタル録音図書部門スタッフ

【画像】タハ・フセイン図書館での集合写真

【画像】スペシャルニーズ図書館での集合写真