プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)エジプト国エネルギー利用効率改善能力開発プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development on Energy Efficiency and Conservation

対象国名

エジプト・アラブ共和国

署名日(実施合意)

2019年10月8日、(改訂)2022年1月15日

プロジェクトサイト

エジプト全域(主な活動地域はカイロ市)

協力期間

2020年1月10日から2023年6月20日

相手国機関名

電力・再生可能エネルギー省
石油鉱物資源省
貿易産業省・産業開発庁
中央動員統計局

背景

エジプトにおける省エネルギー(以下、「省エネ」)への取り組みは、2016年にエネルギー最高評議会(SCE)にて承認された「統合的・持続的エネルギー開発戦略(ISES2035)」により、国家エネルギー戦略の中で重要な課題として位置づけられています。2017年には、「国家エネルギー効率行動計画(2018/2019~2021/2022), NEEAP-II」が政府承認されました。同計画で規定されている各種省エネ施策の実施モニタリングは、電力・再生可能エネルギー省(MOERE)の省エネ気候変動対策室(EECCD)が責を担うため、EECCDには早急に次のような機能を強化することが求められています。一つ目は効果的な政策策定に不可欠なエネルギー統計データマネジメントの枠組み及び解析能力、二つ目は省エネ進捗状況のモニタリング評価及びそれを年次報告書として纏めるために必要な能力、三つ目は現行省エネ推進政策・制度や対策技術の有効性検証及びより効果的且つ実効性の高い改善策の提案・実行に必要な政策立案・執行能力、を可及的速やかに強化することである。
また、政府全体として省エネを強力に推進するため、関係機関の間での連携強化も期待されています。

目標

上位目標

エジプト政府省エネ推進体制が強化され、省エネの国家目標が達成される。

プロジェクト目標

NEEAP-IIや石油鉱物資源省(MOP)が策定している「エジプト石油・ガスセクター近代化プログラム(OGMP)」等国家レベルの省エネ政策を促進するため、省エネ推進戦略・計画の作成、データマネジメント及び高効率設備導入拡大のための制度構築に必要な政府機関の能力開発を行う。

成果

1.MOEREのEECCDの省エネ推進に関する行政処理能力が強化される。
2.省エネ潜在性の高い技術/製品評価が行われ推進政策が提案される。
3.MOPのEECCDの省エネ推進に関する行政処理能力が強化されるとともに省エネ推進戦略ロードマップが作成される。
4.国レベルでの統合省エネ推進政策策定に向けた提言がなされ、その原案が策定される。
5.中央動員統計局(CAPMAS)が発刊する国家エネルギー統計書が他のカウンターパート機関による省エネ促進政策の策定およびモニタリングのために参照される。

活動

成果1関連

1-1.マクロおよびミクロレベルのデータ管理、目標設定、モニタリングとフィードバックを含む省エネ政策のPDCAサイクルが確立される。(組織、政策)
1-2.省エネ方策、省エネロードマップ案、年次報告書のテンプレートが更新される。(組織、政策)
1-3.データ管理や政策立案に係る気候変動課(EECCD)職員の実施能力が向上する。(個人、トレーニング)
1-4.省エネ技術の評価方法および省エネポテンシャルの算定方法が策定される。(個人、トレーニング)
1-5.意識啓発プログラムが立案され、実施支援される。

成果2関連

2-1.住宅でのエアコン省エネ実証が実施される。
2-2.冷蔵庫、ルームエアコン、照明等を含む家電の実証分析が行われる。

成果3関連

3-1-1.MOP、持ち株会社、関連会社へのインタビューを実施する。
3-1-2.国際水準に対する比較、ベンチマーキングを行う。
3-1-3.分析結果共有のためのワークショップを開催する。
3-2-1.パイロット製油所を現地訪問する(エネルギー診断実施)。
3-2-2.パイロット製油所職員との円卓会議開催およびPFD(プロセスフロー図)をレビューする。
3-2-3.パイロット製油所のサイト全体の電力・熱供給システム案を開発する。
3-2-4.省エネ対策リストを作成し、パイロット製油所から承認を受けるべく議論する。
3-2-5.トレーニング・ワークショップを5回開催する。
3-2-6.省エネ組織フレームワークの「ギャップ分析」に係る要約レポートを作成する(石油セクターにおける国際比較)。
3-2-7.設備仕様、ベンチマーク、ギャップ分析、KPI管理等を含む、製油所や石油化学施設等の石油セクター施設の省エネ対策手法習得に向けた基礎トレーニングを実施する。
3-3-1石油セクターの戦略的ロードマップ(案)を作成する。
3-3-2.MOP内ワークショップを円滑に進め、MOPが国レベルの省エネコミットメント達成に必要な石油セクターの省エネポリシーを定義する。
3-3-3.MOP内ワークショップを円滑に進め、上記(3-3-2)達成の実行計画およびスケジュールを作成する。
3-4-1.省エネ診断標準業務手順書を作成する。
3-4-2.MOPが提供するエネルギーパラメーター、KPIを定義づける資料原案を作成する(提供頻度、データ精度を含む)。

成果4関連

4-1.カウンターパート4機関参加による会合において、エネルギー関連データ収集に係る標準フォーマット/媒体導入を進めつつ、将来の省エネ政策/実行計画について議論する。また、会合においては、以下キーポイントについて確認する。
・将来の省エネ実行計画を議論し、また、石油セクターの主な役割についてMOPが原案を策定する。
・エネルギー消費量削減に係るMOPのコミットメントを確認する。
4-2.上記にて検討される省エネ政策/実行計画が実現されるための必須要素をカウンターパート4機関にて議論し、確認する(例:発行主体、時期、発出方法)。
(IDA)4-3-1.産業セクターにおいて省エネを促進するため、IDA・EECUを設立するための準備を行う。
4-3-2.IDAが産業セクターにおけるEEC政策・規制案を検討する。
4-3-3.産業セクターにおける統合的な省エネ活動を行う場を企画する。
4-3-4.民間セクターにおける省エネワークショップを開催する。
4-3-5.IDA職員に対する研修を実施する。

成果5関連

5-1.CAPMASのエネルギー関連統計データ管理ならびに省エネ貢献に係る組織能力を評価する。
5-2.CAPMAS, MOERE, MOP及び産業開発庁(IDA)の統計データ収集能力に係る目標設定とギャップ分析を行う。これら機関による進捗報告・共有会合を開催する。
5-3.エネルギー関連統計データ管理に係る国際的な標準に関するインハウス研修を実施する。
5-4.各省庁にまたがって共有される業務手順書および統計データ収集様式を設定する。
5-5.エネルギーデータ管理システム(EDMS)試作版を開発し、CAPMAS, MOERE, MOP, IDAにて利活用する。

投入

日本側投入

1.JICA専門家の派遣

短期専門家19名:総括1、副総括1、エネルギーデータマネジメント2、省エネルギー戦略・制度(電力)1、エネルギー診断・技術(電力)2、パイロットプロジェクト(電力)1、省エネルギー戦略(石油)3、省エネルギー技術(石油)/エネルギー診断(石油)1、エネルギー診断(石油)4、普及啓発/業務調整2、省エネ推進(産業分野)/能力開発/民間連携支援1

2.研修とセミナー

・エジプトでの研修
・日本での研修(3回)
・エジプトでのセミナー(2回)

3.設備機材

・活動に必要な機材
・エネルギーデータ管理システム(EDMS)
・石油分野のシュミレーションソフトのライセンス
・サーモカメラ
・プロジェクトオフィス

相手国側投入

1.カウンターパートの配置

・プロジェクトダイレクター(P/D)
・MOEREのタスクマネジャー
・MOPのタスクマネジャー
・IDAのタスクマネジャー
・CAPMASのタスクマネジャー

2.経費

・C/Pの日当・宿泊
・C/Pの国内旅費