教員間学び合い活動を全国で実施

2023年5月29日

「初中等算数・数学教育における学力評価に基づいた学びの改善プロジェクト」(通称ESMATE2)では5月初旬に、小中学校教員を対象にした教員間学び合い活動を全国で実施しました。これは各県で教員が一同に会し、年間指導計画の立案を検討したり、互いの授業実践経験を共有しあったりする活動で、年度始めと各学期末(小中学校3学期制、高校4学期制)の実施が計画されています。そのうち算数・数学は年3回の予定(1月、5月、11月)。コロナ禍では対面が叶わず、こうした教員間の学び合い活動は一時期中断していましたが、昨年11月に対面方式が再開したので、ポストコロナという意味においては、今回の活動がコロナ後3回目にあたります。

この活動では、まず、教員の中から選抜された全国約1,100人のファシリテーターたちが、プロジェクトのカウンターパートである教育省カリキュラム局の技官による研修を受けます。その後、各会場にて教員たちの経験共有や意見交換をファシリテートします。従って、教員たちは、技官や各県の指導主事から一方的に指導を受けて知識や技術を習得するのではなく、彼ら自身の間で気づきや学びを得るような仕組みになっています。技官は内容や題材を提供するだけで、それを基に参加者が議論するので、教員間で刺激し合い切磋琢磨する場になります。先行プロジェクトにおいて、この活動を通して子どもの学びの改善につながったことが確認されています。また、プロジェクトにとっては、現場の教室で奮闘する先生方の苦労や課題、本音を聞くことのできる貴重な機会でもあります。

プロジェクトでは、教員が自分の授業を振り返るための材料として、テストの結果や授業進度の状況を確認しつつ活動を展開することを推進しています。今回は、2月に実施された全国学力診断テスト標本調査の結果を技官が分析した結果を用い、その中でも特に子どもの誤った解答を基に議論する、いわゆる「誤答分析」をテーマにしました。

例えば「5/6+2/3」という計算問題ではどのような誤りが多いか、また、どこにその誤りの原因があるのか、更にその対策としてどのように補完授業を行うべきかをグループに分かれて話し合いました。自分の授業の経験や工夫を他校の教員と共有する様子も各グループで見られた一方で、ファシリテーターの説明が長くなり教員間の議論の時間が短くなってしまう場面や、一般論に終始してしまう場面も一部に見られました。

教員間で刺激を受け合って、普段の授業に生かすための具体的な行動変容が起き、それが最終的に子どもの学びの改善につながっていくというプロセスがこの活動の狙いです。プロジェクトでは、次回の11月に予定されている「振り返り」の内容を策定し、今回見出された課題をどのように克服するかの議論が既に始まっています。

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振り返り活動のテーマについて説明するファシリテーター教員

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誤答例から子どもがどこにつまずいているかを話し合うグループ