国家TQMファシリテータによる巡回指導を開始。パイロット対象保健医療施設で5Sのグッドプラクティスを確認

2020年4月20日

2019年6月に実施したプロジェクトのパイロット対象保健医療施設向けの5S指導者研修後、各施設では院内研修を開催して指導者研修参加者がファシリテータとして知識を伝授しました。その後、各施設で選定したパイロットユニットでは、職場環境の改善に向けた5S活動が本格的に始まりました。

保健医療サービス省では、各施設の活動の進捗確認と技術的支援を目的に、国家TQMファシリテータで構成する巡回指導チームを編成し、2019年11月から四半期に1回程度、各施設を訪問しています。これまで、2回の巡回指導(2019年11月および12月、2020年2月および3月)を実施しました。

巡回指導は、英語で「Consultation Visit」と呼んでいます。「Consultation」という言葉を使う理由は、巡回指導は、各施設の活動を観察し、現場スタッフの声の聞き取りを基に、さらに活動が進捗するように支援するのが目的だからです。

巡回指導では、主に次のようなことを行います。まず、各施設の質改善活動の監督指導役を担うQIT(Quality Improvement Team)と呼ばれる質改善チームに対して、チェックリストを使って、QITの定期的な会合の開催や院内モニタリング・評価の実施状況について確認します。その後、各施設で選定されたパイロットユニットを訪問して、5Sの活動状況を観察します。その際には、まず良い点を見つけて、現場スタッフの努力を評価します。それから、さらに改善できる点に対して、具体的な助言を行います。また、活動の進捗の確認のためにチェックリストを使って点数付けをします。チェックリストは、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の実施状況を確認する項目に加え、リーダーシップや生産性、安全性などの項目を設け、それぞれに複数の確認事項と基準を設定し、5段階で評価します。チェックリストを使った評価は、基準を満たしているかどうかを判定するのではなく、進捗がどの程度か、経時的な変化を視覚的に確認できるようにすることが目的です。

そして、巡回指導の最終日には、マネジメント、QIT、パイロットユニットで質改善活動を推進する業務改善チームのメンバー等に対して、フィードバックのプレゼンテーションを実施します。プレゼンテーションでは、チェックリストで点数付けした結果、各パイロットユニットのグッドプラクティス、または改善が求められる点の写真などを共有し、さらなる改善に向けて提言します。

各パイロット対象保健医療施設では、進捗に多少の差はありますが、パイロットユニットで5S活動が始まり、グッドプラクティスも確認されるようになりました。また、巡回指導に参画した国家TQMファシリテータは、現場でスタッフを激励したり、具体的な改善案を提案したりと、積極的に現場スタッフに声を掛ける様子が見られるようになりました。

院内の質改善の実施体制の機能が十分でなかったり、認定された国家TQMファシリテータの参画が限定的だったりと、課題もまだ残されていますが、引き続き、定期的な巡回指導の実施を通じて、これらの課題の克服とさらなる改善に向けた支援を行っていきます。

巡回指導の様子

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QITメンバーに対する聞き取り

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パイロットユニットの活動の観察

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フィードバックプレゼンテーション