プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)5S-KAIZEN-TQMによる保健サービスの質の向上プロジェクト
(英)Project for Improvement of Health Services through 5S-KAIZEN-TQM

対象国名

フィジー

署名日(実施合意)

2017年8月24日

プロジェクトサイト

コロニアル・ウォー・メモリアル病院(以下、「CWM病院」)
ナウソリ産科病院およびナウソリヘルスセンター
シンガトカ病院
ランバサ病院
バレレブヘルスセンター
フィジー医薬品バイオメディカルサービスセンター(以下、「FPBS」)

協力期間

2019年4月10日から2026年3月31日

相手国機関名

(和)保健医療サービス省
(英)Ministry of Health and Medical Services

背景

フィジー共和国(以下、「フィジー」)においては、非感染性疾患(Non-Communicable Diseases:NCDs)、いわゆる生活習慣病が主要死因となっており、特にNCDs四大疾患と呼ばれる心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、がんは同地域における全死亡の70%以上を占めるに至っている。このような状況の中、フィジーでは生活習慣病対策、また生活の質の向上に繋がる医療サービスの充実、いわゆる質の高い医療サービスの提供、保健医療システムの強化を重点課題としており、医療サービスの質を高めるためのシステム構築のニーズが高まっている。
フィジーの医療体制は、中央・東部、北部、西部の3つの保健区域に分かれており、それぞれの地域ごとに保健医療サービスのネットワークが構築されている。中央・東部にはコロニアル・ウォー・メモリアル病院(以下、「CWM病院」)、北部にはランバサ病院、西部にはラウトカ病院(注)という3大国立病院が3次医療病院(地域病院)として設置されており、その下には地域病院、ヘルスセンターとナーシング・ステーションが設置されている。このほか、精神科や結核治療・リハビリテーションを行う専門病院が設置されている。
2012年にフィジー保健医療サービス省は、保健医療施設におけるサービスの質向上のため、独自で国家5S-KAIZEN-TQMチームを作り、5S-KAIZEN-TQMのアプローチを導入した。保健医療施設に従事する看護人材へのトレーニング等の取り組みを実施していたが、5S-KAIZEN-TQMに関する専門的な知見不足、人材面のリソース不足や看護人材のモチベーションの低下等の課題を残し、5S-KAIZEN-TQMが浸透しないままプログラムが終了したという経緯があった。そのため保健医療サービス省は、前回明らかとなった課題を整理し、2015年に再び同国家5S-KAIZEN-TQMチームが中心となって、国内の保健医療施設にて5S-KAIZEN-TQMプログラムを実施している。WHOの財政支援によりマニュアルの開発なども始まり、5S-KAIZEN-TQMの基礎部分は構築されつつあるが、各病院における実施とモニタリングには指導が必要な状況である。そこで、より効果的・効率的な5S-KAIZEN-TQMの活動運営を目指して、技術協力プロジェクトの実施が要請された。

(注)ラウトカ病院は、現在、官民連携プロジェクトの下、民間セクターにて運営されている。

目標

上位目標

5S-KAIZEN-TQMが、パイロット対象保健医療施設以外の保健医療施設でも実施される。
指標:5S-KAIZEN-TQMの実施と持続可能性を担保する能力を備えた国家質改善委員会が設立される。

プロジェクト目標

パイロット対象保健医療施設において、保健サービスの質が向上する。
指標1:職員の満足度が改善する。
指標2:利用者の満足度が改善する。

成果

成果1:国家TQM(NTQM)ファシリテータの能力が強化される。
成果2:パイロット対象保健医療施設における5S-KAIZEN-TQMの活動モデルが確立される。
成果3:パイロット対象保健医療施設において5S-KAIZEN-TQMに関する組織能力が強化される。

活動

1-1.NTQMファシリテータを選定し、国内での普及と技術支援のための体制を整備する。
1-2.NTQMファシリテータの役割と責任に関し合意する。
1-3.NTQMファシリテータのための研修プログラムを見直し、整備する。
1-4.NTQMファシリテータを対象とした5S-KAIZEN-TQM研修を実施する。
1-5.NTQMファシリテータの5S-KAIZEN-TQMに関する理解度を把握する。
1-6.パイロット対象保健医療施設間で知見を共有する。
1-7.パイロット対象保健医療施設の知見を他の保健医療施設と共有する。
1-8.5S-KAIZEN-TQMの全国展開を目的として、5S-KAIZEN-TQM実施ガイドラインを改訂する。

2-1.パイロット対象保健医療施設を見直し、再選定する。
2-2.プロジェクトの概要説明とパイロットユニットの選定のため、パイロット対象保健医療施設を訪問する。
2-3.保健医療サービス省と関係組織のリーダーに対し、プロジェクトの概要と5S-KAIZEN-TQMアプローチの概念を説明する。
2-4.質改善チーム(QIT)によるパイロットユニットのスタッフを対象とした5S-KAIZEN研修の実施を技術的に支援する。
2-4-1.QITによる5S研修の実施を技術的に支援する。
2-4-2.QITによるKAIZEN研修の実施を技術的に支援する。
2-5.パイロット対象保健医療施設に対して巡回指導を通じて技術支援を行う。
2-6.四半期及び年次報告書によって、パイロット対象保健医療施設における5S-KAIZEN-TQM活動の進捗状況を確認する。

3-1.パイロット対象保健医療施設において、QITと業務改善チーム(WIT)のメンバー選定及びチームの設立について支援する。
3-2.パイロット対象保健医療施設のQITを対象とした5S-KAIZEN-TQM研修を実施する。
3-2-1.5S研修を実施する。
3-2-2.KAIZEN研修を実施する。
3-3.QITとWITの役割と責任の規定策定に係る支援を行う。
3-4.質改善(QI)計画書と報告書の様式を整備する。
3-5.5S及びKAIZEN研修においてQI計画書と報告書の様式を周知する。
3-6.巡回指導を通じ、パイロット対象保健医療施設に対する技術支援を行う。
3-7.パイロット対象保健医療施設によるQI年次計画書の作成を技術的に支援する。
3-8.中間レビューミーティングを実施し、パイロット対象保健医療施設における好事例を共有する。
3-9.ファイナルセミナーを通じてパイロット対象保健医療施設から得られた知見と好事例を保健医療サービス省マネジメントと他の地域保健医療施設管理者らに共有する。

投入

日本側投入

専門家の配置

1.チーフアドバイザー/5S-KAIZEN-TQM推進体制整備1
2.5S-KAIZEN-TQM推進体制整備2
3.業務調整/ベースライン調査/エンドライン調査

機材供与

プロジェクト実施に必要な機材等

研修

本邦研修

現地業務費

研修等開催費、教材作成費、その他のプロジェクト活動実施に必要な費用

相手国側投入

カウンターパートの配置

執務オフィスの提供

必要な施設と機材

プロジェクト運営費用

1.オフィスの水道光熱費
2.カウンターパートの人件費
3.会議開催費
4.交通費
5.研修開催費の一部