ラウトカ漁業協同組合への機材供与式

2023年5月25日

2023年5月19日、ラウトカ漁港において、フィジー水産林業省カラベティ・ランブ(Kalaveti Ravu)水産大臣、ラウトカ漁業協同組合チョネタニ・ナサウ(Jonetani Nasau)組合長が出席される中、ラウトカ漁業協同組合(Lautoka Fishers Cooperative Limited:LFCL)への機材供与式が行われました。

ラウトカ漁港は、水揚場、製氷機や魚市場を有し、フィジーで最も設備が整った漁港です。また、フィジー西部は観光業も盛んでホテルやレストランも多く、水産物の需要が高いことも特徴として挙げられます。そのような状況から、フィジー水産省西部地方事務所は、JICA SDG14プロジェクト連携の下で、小規模プロジェクト「漁業資源の持続的な利用を通じたラウトカ漁業協同組合の経済的利益・機会の最大化」を実施しています。本小規模プロジェクトでは、漁民・仲買人・政府との連携を強化し、ラウトカ漁港を取り巻く水産業の経済的利益・機会の最大化を図ることを目的としています。今回執り行われた供与式内では、水産省およびラウトカ漁協で、ラウトカ漁港および魚市場の利用に関する覚書(Memorandum of Understanding:MOU)が締結され、MOU内では、水産省と漁協の連携、漁業データの共有、水産関係者の生計向上についての取り決めがなされました。

加えて、我々のプロジェクトでは、ラウトカ漁協の運営改善を行うための支援を行っています。その一環として、南太平洋大学(USP)と連携し、USPのジェニス・ナタシャ(Janice Natasha)氏およびビネッシュ・ラジ(Binesh Raj)氏を講師として迎え、水産省職員向けの能力向上研修「ポストハーベストおよび水産物加工研修」を2022年1月から実施しており、今年で3年目となります。本研修では、水産省職員に対し水産物の衛生的な取り扱い方法を含むポストハーベストの技術や、加工方法の指導に関する講義・実習を行い、ラウトカ漁港で水揚げされた水産物の品質向上と、それに伴う付加価値の増大を目指した活動を行っています。研修中、水産省からの参加者、USP講師およびJICA専門家で、ラウトカ漁港の水産物の品質向上の方法について話し合い、必要な機材(チェストフリーザー、水産物ディスプレイ用のアルミニウムラック、運搬用のトローリー、温度計、芯温系など)の調達を行いました。今回の式典では、これら調達機材の供与も行い、水産省職員からは、これら機材を有効活用することでラウトカ漁協の利益最大化を行っていくとの力強い言葉が得られました。

さらに式典では、本プロジェクトの田村チーフアドバイザーによる挨拶が行われ、漁協の効率的運営に向け、主に以下の3点の提言を行いました。

i)漁協の安定的な運営を行い、今後は新規メンバーの募集や、メンバーの役割りを明確化し活動を行なうこと。
ii)水産物の品質向上と加工品(燻製、干物など)の販売を行い、水産物の付加価値を高めて販売を行うこと。それに伴い本年6月より、JICA専門家とUSP講師がラウトカ漁港を訪問し、LFCLメンバーに向けた研修を開始する。
iii)資源管理に向けた精度の高い漁獲データの収集・分析を推進すること。そのため、漁協メンバーは水産省へ逐次データを報告することをお願いする。

前述の通り、JICAは引き続き、水産省・LFCL・USPおよび漁業関係者との連携を支援し、ラウトカ漁港を取り巻く水産業の経済的利益・機会の最大に向けた支援を継続していきます。

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集合写真

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覚書にサインを行う水産林業省ランブ大臣(左)とLFCFナサウ組合長(右)

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開会の挨拶を行う水産省ナニセ西部事務所長

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機材供与式の様子

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漁民にインタビューを行う大臣

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魚市場内のゾーニング方法を改善