プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)太平洋島嶼国のSDG14「海の豊かさを守ろう」プロジェクト
(英)Project on Pacific Islands Capacity Enhancement for Achieving SDG 14

対象国名

フィジー共和国

対象国名(その他)

バヌアツ、パラオ、サモア他全14か国・地域

署名日(実施合意)

2020年2月14日

協力期間

2020年12月24日から2025年3月31日

相手国機関名

(和)フィジー水産省
(英)Ministry of Fisheries

背景

2015年、国連は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の行動計画として17の持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。その内、SDG14では「海の豊かさを守ろう」を掲げ、海洋資源の保全と持続可能な利用を目指しています。翌2016年、太平洋諸島フォーラム(PIF)第47回年次総会において各国首脳から、「大洋州がSDG14等の海洋分野でリーダーシップを発揮すべき」と発表されました。さらに2017年、国連海洋会議がフィジーとスウェーデン政府により共同開催され、バイニマラマ首相より、SDG14を気候変動とともにグローバルアジェンダのトップへ位置付けるよう声明が出されました。また、フィジー水産省事業計画(2020-2021)には4つの目標、1)経済成長(沖合漁業)、2)漁業資源の保全・管理(沿岸漁業)、3)食料安全保障(養殖)、4)行政サービスの質の向上が掲げられ、それら全てに共通する戦略として人材育成が含まれています。

このように、ハイレベルでのSDG14達成に向けたコミットメントはなされていると言えます。しかしながら、実務者レベルにおいては、人材や財政の慢性的な不足により、実際の具体的な活動へと繋がっていないのが実情です。

本プロジェクトでは、太平洋島嶼国においてSDG14達成に向けた積極的かつ効果的な活動を将来に渡って展開していけるよう、域内人材の育成を進めています。プロジェクトは二段階方式を採用しており、初年度の2021年は、フィジーでの人材育成に係る課題とニーズを分析し、プロジェクト戦略と活動計画を策定していきます。

また、南太平洋大学の農業・地理・環境・海洋・自然科学学部(USP-SAGEONS)と協働で、必要な知識及び技能の習得と実践的な活動を組み合せた、総合的な研修カリキュラムを作成しています。さらに、国連食糧農業機関(FAO)、太平洋共同体事務局(SPC)、太平洋地域環境計画事務局(SPREP)、開発パートナー、NGO等、様々な関係者との連携を通じて、域内人材の効果的かつ持続的な育成に向けた道筋を立てていきます。

2022年には、フィジー水産省を対象に、沿岸資源管理、養殖および水産加工などの研修を経て、習得された知識や技能を実践するための小規模プロジェクトを行います。さらに、2023年以降には、対象国をパラオ、サモア、バヌアツにも広げていき、他のJICAプロジェクトとの連携を図りつつ第三国研修を実施していきます。このように、フィジーを始め、大洋州各国で積み上げられてきた知識や経験を互いに学び合える場を通じて、SDG14の達成に貢献できる域内人材を育成していきます。

目標

上位目標

太平洋島嶼国におけるSDG14の達成への取り組み推進に向けて、各国の水産行政官の能力が強化される。

プロジェクト目標

太平洋島嶼国におけるSDG14の達成への取り組み推進に向けて、フィジー水産行政官の能力が強化される。

成果

1.太平洋島嶼国におけるSDG14の達成に向けた課題と必要な取り組みが特定され、水産行政官の能力向上にかかる人材育成計画が策定される。
2.SDG14の達成への取り組み推進に向けて、フィジー水産行政官の能力向上にかかる研修が実施される。
3.SDG14の達成への取り組み推進に向けて、太平洋島嶼国における水産行政官の能力向上にかかる研修が実施される。
4.SDG14の達成への取り組み推進を持続的に行うための、人材育成ロードマップが策定される。

活動

成果1関連

1-1.太平洋島嶼国の行政機関によるSDG14の達成に向けた、課題・取り組み・ニーズ等について、各国の関係者と共に情報を整理する。
1-2.太平洋地域機関(PIF、CROP機関等)によるSDG14の達成に向けた、課題・取り組み・ニーズ等について、各機関の関係者と共に情報を整理する。
1-3.国連機関や他ドナー、NGOsによるSDG14の達成に向けた、課題・取り組み・ニーズ等について、各機関の関係者と共に情報を整理する。
1-4.日本の関係機関によるSDG14の達成に向けた、課題・取り組み・ニーズ等について、各機関の関係者と共に情報を整理する。
1-5.1-1から1-4で得た情報を統合し、太平洋島嶼国におけるSDG14の達成に向けた人材育成計画を関係者と共にドラフトする。
1-6.フィジー水産省とUSP-SAGEONSを中心とした、各国や各機関の関係者を含む研修委員会を組織する。
1-7.研修委員会において人材育成計画を最終化し関係者間での合意を図る。

成果2関連

2-1.フィジー水産行政官に対する研修カリキュラムを、研修委員会とともに作成する。
2-2.フィジー水産行政官に対する研修教材を、研修委員会とともに作成する。
2-3.フィジー水産行政官に対する研修を、関係者とともに実施する。
2-4.フィジーにおけるSDG14の達成への取り組み促進に向けたロードマップ(案)を、研修参加者とともに作成する。

成果3関連

3-1.太平洋島嶼国の水産行政官に対する研修カリキュラムを、研修委員会とともに作成する。
3-2.太平洋島嶼国の水産行政官に対する研修実施に向けて、フィジー水産行政官に対するトレーナーズ・トレーニングを行う。
3-3.太平洋島嶼国の水産行政官に対する研修教材を、研修委員会とともに作成する。
3-4.太平洋島嶼国の水産省職員を対象とした研修を、フィジー水産行政官とUSP-SAGEONSを中心とした関係者とともに実施する。
3-5.太平洋島嶼国にけるSDG14の達成への取り組み促進に向けたロードマップ(案)を、研修参加者とともに作成する。

成果4関連

4-1.研修参加者のネットワークを構築する。
4-2.研修の成果を、研修委員会とネットワークとともに解析する。
4-3.域内の継続的な人材育成にかかる支援について、地域的国際機関や他ドナーとともに検討する。
4-4.SDG14の達成への取り組み促進に向けて、将来的に継続可能な人材育成ロードマップを策定する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣

1-1.長期専門家 2名
(チーフアドバイザー/海洋資源管理、研修管理/業務調整)
1-2.短期専門家 複数名(研修講師)

2.研修

2-1.国内研修(フィジー対象の現職研修)
2-2.第三国研修
2-3.本邦研修(長期研修含む)

3.機材供与

3-1.研修用機材等

4.在外事業強化費

相手国側投入

1.カウンターパート配置

1-1.フィジー水産省のカウンターパート
1-2.USP-SAGEONSのカウンターパート

2.施設

2-1.フィジー水産省内のオフィス
2-2.USP-SMS内のオフィス
2-3.研修用スペース

3.機材

3-1.研修用機材等

4.予算

4-1.研修に必要な費用(リフレッシュメント、旅費等)